「子供の「クロスバイト(交叉咬合)」は顎の成長が阻害されてしまうため、将来、顎や顔の歪みが起きたり、顎関節症になる可能性があり、早期発見と治療が推奨されます。症状、原因と治療法について小児歯科医が解説!」
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。
一見、子供の歯並びが問題ないように見えても、一部の下の歯が上の歯よりも外側に位置する歯列になっている「クロスバイト(交叉咬合)」と呼ばれる不正咬合があります。
子供の「クロスバイト(交叉咬合)」は顎の成長が阻害されてしまうため、将来、顎や顔の歪みが起きたり、顎関節症になる可能性がありますので早期発見と治療が推奨されます。
そこで今回は、子供の「クロスバイト(交叉咬合)」の症状、原因と治療法について小児歯科医が解説していきますので、ぜひ最後まで一読ください。
▽先読み!この記事で分かること
・年齢とともに顎の成長を妨げる
・早期発見と早期治療が推奨される
・顎や顔のゆがみに繋がる可能性
・骨格から解決する小児矯正がおすすめ
Table of Contents
ご質問:クロスバイト(交叉咬合)は子供のうちに治療した方がいいですか?
ご質問をいただきました。
ご質問者様:6歳の息子さんのお母様
小学一年生の息子が学校の歯科検診で「要精検」と診断されたため、小児歯科医院で歯の状態を診てもらい、精密検査を受けました。
結果、「クロスバイト(交叉咬合)」という不正咬合と診断されて、矯正治療をすることになったのですが、大人になってからよりも、今のタイミングで治療を始めた方が良いですか?
担当の歯医者さんから早期治療を勧められましたが、「クロスバイト(交叉咬合)」の矯正治療は難易度が高いと聞いたので、治療が長引いてしまうのでは…と不安です。
ご回答よろしくお願いします。
回答:年齢とともに顎の成長を妨げるため、早期治療をおすすめします
質問に回答します。
上下の歯を噛み合わせたときに、通常、上の歯は下の歯を覆っている状態になりますが、上下の噛み合わせが一部、反対になっていることを「クロスバイト(交叉咬合)」といいます。
しっかり噛んでも上の歯が下の歯を覆うことができず、歯が外側にズレているため、噛み合わせが悪く、将来的に顎関節症や肩こり・頭痛、顎や顔のゆがみ等を引き起こす可能性があります。
多くの場合、「クロスバイト(交叉咬合)」は奥歯に原因があることが多く、子供の顎の成長を妨げてしまい、前歯のズレにも繋がる可能性があるので、早期治療が推奨されます。
「クロスバイト(交叉咬合)」の症状は、歯のズレが1本だけの場合と複数の歯がズレている場合、もしくは奥歯から前歯まで全体の歯列に見られる症例もあり、人によって様々です。
小児矯正治療の治療期間は1年~2年程度で改善することができますが、大人になってから治療をすると、症例によっては外科的手術が必要になることもあります。
数ある不正咬合の中でも「クロスバイト(交叉咬合)」は難しい治療になりますが、年齢とともに顎の成長を妨げる可能性がありますので、子供のうちに矯正した方が良いでしょう。
子供のクロスバイト(交叉咬合)とは?
子供の「クロスバイト(交叉咬合)」とは、顎が左右のどちらかにズレているために、上下の歯列が正常な噛み合わせとは反対になっている状態のことをいいます。
正常な噛み合わせは、上顎の歯が下顎の歯に2~3㎜程度覆いかぶさっていますが、「クロスバイト(交叉咬合)」の場合、一部の歯列において下顎の歯が上顎の外側に位置しています。
「クロスバイト(交叉咬合)」はパッと見ただけでは分からないことが多く、一見すると歯ならびに問題はなくても、上下を噛み合わせた時にズレているケースがあるのです。
▼クロスバイト(交叉咬合)のセルフチェック
・上の歯の真ん中と下の歯の真ん中が合っていない
・上下の歯が右側、もしくは左側にズレている
・全体的に噛み合わせがズレている
上記の症状がある場合、「クロスバイト(交叉咬合)」の可能性がありますので、まずは歯科医院に歯並びと噛み合わせを診てもらい、検査を受けることをおすすめします。
子供のクロスバイト(交叉咬合)の原因は?
子供がクロスバイト(交叉咬合)になる原因は大きく分けて、遺伝的なものと外的要因の二つがあります。
遺伝的な要因
子供の骨格や顎骨の大きさ、歯の形や大きさは親から子へ遺伝しますので、ご両親のどちらかにクロスバイト(交叉咬合)の症状がある場合、お子様も同じ症状になる可能性があります。
ご両親にクロスバイト(交叉咬合)の症状がない場合でも、上顎が小さい場合、お子様も上顎が小さくなる傾向があり、それによってクロスバイト(交叉咬合)になることがあります。
外的要因
無意識に行っている口腔内の癖(舌で歯を押し出す舌癖)、口呼吸の習慣、顎や顔周りの習慣(頬杖をつく、爪噛みなど)といった普段の何気ない習慣は、歯並びに悪影響を及ぼします。
子供の体の成長過程において、歯並びに影響を及ぼす習慣を続けていると、上下の顎の骨の位置がズレて、歯列が交叉咬合となることがあるので注意が必要です。
▽クロスバイト(交叉咬合)を引き起こす習慣
①指しゃぶり
親指を強く吸うことで、上下顎の歯列の乱れを起こすことがあります。
②舌癖
舌で前歯の裏側を押し出す癖、前歯の隙間に舌を入れる癖があったり、前歯で舌を噛む癖があると、歯並びが乱れる原因となります。
③頬杖をつく
頬杖をつく習慣があると顎に偏った負荷をかけてしまい、顎の成長を妨げて、噛み合わせもバランスが悪くなります。
④爪を噛む
爪を噛む癖は上の前歯を前に出しながら、下の前歯が内側に入るため、出っ歯になる可能性もあります。
⑤口呼吸
口呼吸が習慣になると、下顎が下がってお口がポカンと開いた状態になり、顎の成長不足による歯列の乱れが起こることがあります。
⑥うつぶせ寝
うつぶせに寝る癖は左右どちらかのあごに負担がかかり、顎の変形や顎関節症を引き起こす原因にもなります。
▽歯並びが悪くなる癖はコチラの記事をチェック!
歯並びが悪くなる子供のクセ7選!歯科医が改善方法と予防策を解説 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
子供のクロスバイト(交叉咬合)将来的な7つのリスク
子供のクロスバイト(交叉咬合)をそのままの状態にしていると、様々な将来的なリスクが起こりえます。
①咀嚼が難しくなる
交叉咬合がある部分は食べ物を噛み切ったり、歯ですり潰すことが難しくなります。
②消化器官に負担がかかる
咀嚼機能が低下すると、胃や腸など消化器官への負担が大きくなります。
③虫歯や歯周病のリスク
交叉咬合がある部分はブラッシングしにくいため歯垢や歯石が溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
④顎や顔の歪み
交叉咬合の症状は年齢とともに徐々に顎の位置がズレていき、顔の表情筋に影響を与えて顔が歪んだり、顔面が左右非対称になることがあります。
⑤顎成長の阻害
子供が成長過程において交叉咬合の症状があると顎の発達を阻害し、上下の顎の骨が十分に成長しないリスクがあります。
⑥肩こり、頭痛が起こりやすい
噛み合わせが左右非対称になると、体の筋肉のバランスが悪くなり、肩こりや腰痛などを引き起こしやすくなります。
⑦顎関節症のリスク
顎を左右どちらかに必要以上に動かし続けることで、顎関節の負担も大きくなり、顎関節症のリスクが高まりますので注意が必要です。
子供のクロスバイト(交叉咬合)はいつ治療を開始すべき?
クロスバイト(交叉咬合)は左右非対称な噛み合わせにより、顎の筋肉のバランスが悪くなり、口腔内環境の悪化だけでなく、頭痛や肩こりなど、体への様々な不調が起こりえます。
他の不正咬合と比べて、クロスバイト(交叉咬合)は見た目の問題がなく、気にならない方もいらっしゃるかもしれませんが、将来のリスクに備えて早期治療が推奨されます。
子供のクロスバイト(交叉咬合)は乳歯と永久歯が混在している混合歯列期間(個人差がありますが、目安は5歳~9歳くらい)に治療を開始されると良いでしょう。
混合歯列期間は顎の成長に合わせて適切な方向へコントロールしやすく、上下の顎の骨と歯並びの関係を適切に改善することが可能です。
5歳までの幼児は指しゃぶりや舌の癖があることが多いですが、早めに治療を始めることでお口のトレーニングを並行しながら、歯並びが悪くなる習慣を取り除くこともできます。
大人になってから矯正する場合、全体的な骨格的な問題を改善するために外科手術が必要になる場合がありますので、混合歯列期に矯正を始めると負担が抑えられるメリットがあります。
お子様一人ひとりの症状によって適切な治療開始時期が異なりますので、まずは歯科医院で歯並びと噛み合わせの状態を診てもらうことをおすすめします。
▽クロスバイトを放置するリスクはコチラの記事をチェック!
【放置NG】子供が交叉咬合(クロスバイト)になる3つの原因と治療法 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
子供のクロスバイト(交叉咬合)5つの治療法
子供のクロスバイト(交叉咬合)の症状は歯科医院でマウスピース矯正やワイヤー矯正などの歯列矯正治療を受けることで、正常な噛み合わせに改善することが可能です。
小児矯正は上顎の横幅を広げて、反対の噛み合わせを正しい位置に戻す「咬合育形成」を行うことができ、骨格的な問題の解決に繋がります。
床矯正(しょうきょうせい)
「床矯正(しょうきょうせい)」とは取り外し可能なマウスピース型の装置をお口にはめて、顎をゆっくりと横に広げていく矯正治療のことです。
装置に付いたネジを調整しながら少しずつ顎を広げていき、抜歯はしなくても、歯が適切な位置に並ぶスペースをつくることができます。
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【子どもの床矯正】拡大床を使うと顔が大きくなる?顔つきは変わってしまうの? – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
MFT(口腔筋機能療法)
「MFT(口腔筋機能療法)」とは、お口のトレーニングを行いながら、顎の骨格を正しい方向へ促し、指しゃぶりや舌癖、口呼吸など、歯並びが悪くなる癖を改善する治療法です。
口呼吸から鼻呼吸に改善したり、適切に食べたり、飲んだりするお口の機能を向上することができ、将来生えてくる永久歯のスペースを確保して、きれいな歯並びに繋げます。
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小児矯正の口腔筋機能療法(MFT)とは?目的と効果をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
マウスピース矯正(軽度の症例)
「マウスピース矯正」とは、取り外し可能なマウスピース装置をお口に一定時間装着し、段階的に装置を取り替えながら、歯並びと噛み合わせを改善していく治療法です。
装置は透明で目立たないため、矯正中のストレスが少ないのがメリットですが、交叉咬合がみられる歯数や歯の傾きによっては治療が難しい場合もあり、対応できないことがあります。
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子供のマウスピース矯正は何歳から?適齢3~5歳について歯科医が解説 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)
ワイヤー矯正
「ワイヤー矯正」は歯の表面、もしくは裏側にブラケットと呼ばれる装置を取り付けて、そこにワイヤーを通して引っ張ることで歯と歯を動かす矯正法です。
幅広い矯正に対応していますので、歯列全体にクロスバイト(交叉咬合)の症状がある方も左右のバランスを整えて、機能的な噛み合わせに改善することができます。
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外科的手術
成人になって治療をする場合、ワイヤー矯正もしくはマウスピース矯正による治療になりますが、上下の顎の位置がズレている場合は矯正治療のみでの改善が難しくなります。
治療が遅れると顎関節症が起きたり、骨格を整える外科的治療(手術)が必要になることがありますので、早期発見と早めの治療が推奨されます。
※外科的治療(手術)は矯正治療を含め費用に保険が適用されます。
子供のクロスバイト(交叉咬合)は早期治療が推奨されます
クロスバイト(交叉咬合)は1本だけ見られる場合や歯列全体に見られる場合もあり、人によって症状は様々ですが、いずれにしても顎がズレる原因にるため、早期治療が推奨されます。
症状を放置していると、子供の顎の成長とともに顎や顔にも影響が出てきますで、体やお顔にも症状が出る前に治療されることをおすすめします。
子供のうちであれば、早期に矯正治療を受けることで、顎骨の成長をコントロールしやすく、適切な方向へ促されて、バランスの取れたお顔立ちになる効果を期待できます。
小児矯正は2~9歳くらいが対象となりますので、お子様の歯並びが気になる方は一度、歯科医院に相談しましょう。
子供の歯並び相談は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ
交叉咬合は上下の歯の一部が逆に噛み合っているために、顎や体にも大きな負担となり、顎の変形や顔の歪みに繋がるリスクがありますので早期発見と早期治療が大切です。
田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」ではお子様の歯並びが気になる方に無料カウンセリングを実施しています。
お子様一人ひとりのお口の状態を検査させていただき、原因をつきとめて、最適な治療法をご提案いたします。歯並びのお悩みや治療に関する疑問など、お気軽にご相談ください。
まとめ
子供の交叉咬合は見た目的には目立ちませんが、顎関節症、肩こり、顔の歪みなどの原因になりますので、気になる方は歯科医院に診てもらい、早期治療をご検討されるとよいでしょう。
お子様の歯並びが気になる方は、お子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」にお越しいただき、小児矯正の無料カウンセリングをご利用くださいませ。
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