小児矯正のゴールデンタイムは5歳前と言われるその理由とは?

「子供が小児矯正を始めるタイミングは小学校に入る前の5歳前が最もよい時期と言われていますが、それは上顎の骨にある継ぎ目が関係しています。」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「abc dental」の院長です。

いつもブログ・Instagram(@abcdental11)・X(@abc_111_)を見ていただいてありがとうございます。

子供に歯並びの問題がある場合、成人になってから矯正治療を受けるよりも、子供のうちに取り組む方が体の成長を利用したアプローチができるため、効果的であると言われています。

一般的に、子供が小児矯正を始めるタイミングは小学校に入る前の5歳前が最もよい時期と言われていますが、それは上顎の骨にある継ぎ目が関係しています。

今回は、小児矯正のゴールデンタイムは5歳前と言われる理由「上顎の骨の特性」について解説していきますので、子供の矯正にご関心のある方は参考にしてみてください。

※実際に小児矯正を始めるベストなタイミングはお子様一人ひとりのお口の状態によって異なります。まずは歯科医院で精密検査を受けて、歯科医師の適切な判断と説明を受けましょう。

▽先読み!この記事で分かること

  • 上顎の骨を大きく広げる治療ができる
  • 顎骨が柔らかく、顎を拡大しやすい
  • 治療期間が短く、体の負担を抑えられる
  • 歯科医院で精密検査を受けましょう

ご質問:子供の矯正開始は5歳までが良い理由は?

ご質問をいただきました。

ご質問者様:5歳の息子さんのお母様

私自身、歯列に受け口と叢生の症状があり、食べ物を噛みにくい、見た目の悩みなどを抱えております。子供にはきれいな歯並びになってもらいたいので、小児矯正に興味があります。

インターネットで小児矯正を始める時期について調べていると、5歳までに受けた方が良いという意見もあれば、永久歯が生えて揃ってからという意見もあり、判断に困っています。

5歳の息子は乳歯から永久歯に生え変わってきている段階ですが、すべての歯が生え揃う前に矯正を開始するのは早すぎませんか?5歳までが良いと言われている理由はなぜですか?

ご回答お待ちしています。

回答:理由の一つに「上顎の骨にある骨の継ぎ目」が挙げられます

質問に回答します。

今回頂いたご質問は、当院が歯並び相談をする際に、多くの保護者の方が同様に興味を示される内容です。

まず第一に、子供の体の成長は一人ひとり違いますので、一概に矯正を始めるベストタイミングは明確に決まっているわけではありません。

ただし、子供の顎が小さく、乳歯の歯並びが悪い場合は、顎が十分に大きくならなければ、永久歯がきれいに並ぶスペースが足りずに、歯列が乱れる可能性が考えられます。

近年の子供たちは食生活の変化によって顎骨や顔が小さくなっている傾向にあり、子供全体の約60%以上に不正咬合(歯並びと咬み合わせに問題がある)の症状があると言われています。

子供の矯正を始めるタイミングについて、一般的に小学生になる前の5歳までに始めるとよいと言われていますが、その理由の一つに「上顎の骨にある骨の継ぎ目」が挙げられます。

上顎の骨には継ぎ目が存在し、その継ぎ目のおかげで子供の顎は成長していきますが、前歯が生え変わる5〜9歳になると継ぎ目は自然とくっ付き、顎の成長は止まってしまうのです。

例えば、子供の上顎の幅が狭いために受け口になった場合、5歳前までに矯正治療を始めれば、上顎の骨の継ぎ目を拡大して、上顎の骨を大きく広げる治療をすることが可能です。

全ての永久歯が生え揃ってから成人矯正を受けることも可能ですが、子供の上顎が一番成長する5歳までに開始すると治療期間が短く、体の負担を抑えられるメリットもあります。

お子様の歯並びが気になる場合、5歳のタイミングで子供の矯正治療を行っている歯科医院に一度、相談してみてはいかがでしょうか。

▽子供の叢生、マウスピース矯正の症例はコチラ!

【小児矯正】子供の叢生|インビザライン(マウスピース矯正)の症例をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

小児矯正のゴールデンタイムは「5歳前」と言われる理由

出典:Chegg「Median Palatine Suture」

小児矯正のゴールデンタイムは「5歳前」と言われる理由の一つに、上顎の骨の特性が挙げられます。

上記の画像は口の中の上側の中央部分になりますが、細い骨の線が見えるでしょうか。これは「正中口蓋縫合(せいちゅうこうがいこうごう」と呼ばれる上顎にある骨の継ぎ目です。

上顎にある骨の継ぎ目は、食べ物や飲み物が鼻に入るのを防ぎ、正常な鼻咽腔閉鎖機能を果たすという大事な役割があります。

子供の時期は、上顎にある骨の継ぎ目は開いた状態にあり、新しく生えてくる歯と顔の成長に対応するために、骨を追加して拡張しながら、上顎を大きく成長させることができます。

しかし、体の成長と共に大人になると、上顎にある2つの半分ずつが徐々に融合し始めて、骨の継ぎ目は自然とくっ付いていきますので、上顎の骨の成長は止まってしまいます

骨の継ぎ目がくっ付き始める時期は人によって個人差がありますが、通常、前歯が永久歯に生え変わる5〜9歳の間とわかっています。

5歳までに矯正を始めると、上顎の骨の継ぎ目が繋がっていませんので、矯正装置によって上顎が適切な方向へ成長するように促し、比較的容易に広げることが可能というわけです。

▽子供の反対咬合、マウスピース矯正の症例はコチラ!

【小児矯正の症例】反対咬合|マウスピース矯正の症例をご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

拡大装置を使って上顎の幅を広げる治療ができる

子供の不正咬合で受け口(反対咬合・下顎前突症)の症状がある場合、上顎の幅が狭いために下顎が長く大きく見えたり、突出して見えることがあります。

小児矯正では、永久歯がきれいに生えてくるように「拡大装置」と呼ばれる矯正装置を使って上顎の骨の継ぎ目を拡大し、上顎の幅を広げる治療を行うことが可能です。

「拡大装置」を使用する年齢は、上顎にある左右の継ぎ目(正中口蓋縫合)がまだ繋がっていない5〜9歳の間に行う必要があります。

この時期に小児矯正を行うと、骨がまだ柔らかいので、比較的痛みをあまり感じずに、上あご中央部をしっかりと広げて、歯がきれいに並べるためのスペースを確保できます。

拡大装置は取り外し可能なタイプと固定式があり、装着した直後は若干の違和感がありますが、子供の適応力は優れていますので、比較的すぐに慣れるでしょう。

大人になると上顎の骨が完全に成長して正中口蓋縫合がくっついてしまうため、顎を拡大する治療は難しくなるといった理由から、小児矯正は早期治療が推奨されています。

▽永久歯が生え揃っていなくても小児矯正を終了できる理由はコチラ!

永久歯が生え揃っていなくても小児矯正を終了できる理由について解説 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

子供の矯正治療は小学生前の5歳までに開始する5つのメリット

子供の矯正開始は5歳までが良い理由は、上顎の骨の継ぎ目を拡大して、上顎の骨を大きく広げる治療が可能になるとご紹介しました。早期治療はその他にも5つのメリットがあります。

※患者様の症状、歯科医院の見解・判断によって異なる場合があります。

①顎骨が柔らかく、顎を拡大しやすい

一般的に、小児矯正は乳歯から永久歯に生えかわる時期(混合歯列期)に行われます。

子供の顎骨は成長過程にありますので、大人と比べると歯周組織が柔らかく、矯正装置を使って顎の成長をコントロールしやすいというメリットがあります。

10歳前後からは顎の成長が緩やかになるため、顎の拡大が難しくなりますが、5〜9歳の間に矯正を開始すれば、少ない力で顎を拡大しやすく、歯を動かすことができるのです。

②痛み・違和感が少ない

矯正装置を付けたときの違和感や痛みは患者様一人ひとりによって異なりますが、通常、大人と比べると子どもは適応能力が高く、数日程度で比較的すぐに慣れることができます。

矯正を始めたばかりの頃は若干の痛みや違和感がありますが、子供の矯正は大人の矯正よりも痛みや違和感を感じにくいので、日常生活に支障ができることはありません。

特に、顎を横に広げるために拡大床を使用した治療は、顎の成長が終わる前に開始すると痛みが少なく、より自然で美しい仕上がりが得られます。

③抜歯するリスクが低い

5〜9歳の間に小児矯正を開始して、顎を大きく拡大しておくと、永久歯が生えてきたときに抜歯をせずに歯をきれいに並べることができるメリットがあります。

大人になると上顎にある継ぎ目(正中口蓋縫合)の左右がくっ付いてしまうので、上顎の中央部を広げる治療は難しくなり、抜歯するリスクが高くなります。

④治療期間が短

患者様の症状、症例によって異なりますが、一般的に拡大床で顎を拡げるのは、約1年から1年半程度で終わります。

乳歯と永久歯が混合している子供の時期は歯が動きやすく、治療期間が短くなるメリットがありますが、成人矯正では歯周組織の吸収や再生を利用するため、治療に時間がかかります。

⑤治療費が抑えられる

小児矯正は乳歯の生えている早い時期から治療を行うため顎を拡大しやすく、歯がスムーズに移動するので治療期間が短く、結果的に治療費を抑えられる傾向があります。

ただし、第一期治療と第二期治療が必要になる場合は、矯正期間が長くなり、治療費もかかってきますので、歯科医院の担当医に治療方針と診断結果の内容について説明を受けましょう。

小学生になる前に始める!マウスピース矯正装置「インビザライン」のご紹介

当院では、7歳~9歳で、マウスピース矯正装置「インビザライン」を使った小児矯正をご紹介しております。

「マウスピース矯正」と聞くと、成人矯正のイメージがあるかと思いますが、現在の優れた技術進歩により、子供の混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する)に適用が可能となっています。

マウスピース矯正装置「インビザライン」の​治療開始は7~9歳が理想的ですが、それ以降の年齢でも早いタイミングで開始することで、痛みや抜歯のリスクを下げられる可能性があります。

▽マウスピース矯正装置「インビザライン」のメリット

  • 取り外しできる
  • 目立たないのが嬉しい
  • むし歯になりにくい
  • 通常通りの学校生活が送れる
  • 食事や部活の時に支障をきたさない
  • 通院回数が少ない(1~2ヶ月に1回)

当院では、最近の機材「iTero(アイテロ)」をいち早く導入し、従来の不快な型取りをする必要がなく、快適にスピーディーに型取りをすることが可能となっております。

子供の歯並び矯正は小学生になる前の時期がゴールデンタイムとなりますので、歯並びが気になる方は一度、「abc dental」の無料カウンセリングをご利用くださいませ。

▽子供のインビザラインの種類について詳しくはコチラ!

【2023年最新版】子供のインビザラインの種類について徹底解説 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

▽「iTero(アイテロ)」について詳しくはコチラ!
【小児矯正】不快な歯型取りは不要な時代へ!口腔内スキャナー「アイテロ(iTero)」のご紹介 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

まとめ

小児矯正に使用する装置には種類がありますので、まずは歯科医院で精密検査を受けて、矯正についてご相談されることをおすすめします。

患者様のお口の状態や症状、歯の成長や生え変わり具合によって、歯科医師が最適な治療法を提案しますので、メリット・注意点等をよく検討したうえで治療を決めるとよいでしょう。

お子様の歯並びが気になる方は、お子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「abc dental」にお越しいただき、小児矯正の無料カウンセリングをご利用くださいませ。

東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。