乳歯が早めに抜けた時に必要!?保隙装置(ほげきそうち)とは?

「虫歯やケガをして早期に歯が抜けてしまった時には、その空いたスペース(空隙)を保持する必要があります。子供が虫歯やケガで乳歯を早期に失った時の対処法、保隙装置(スペースメンテナー)について解説!」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「abc dental」の院長です。

いつもブログ・Instagram(@abcdental11)・X(@abc_111_)を見ていただいてありがとうございます。

乳歯は永久歯へ生え変わる時に自然と抜け落ちますが、虫歯やケガをして早期に歯が抜けてしまった時には、保隙装置(スペースメンテナー)を使って、その空いたスペース(空隙)を保持する必要があります。

そのまま放置していると、両隣にある両隣の乳歯が動いてくるので、永久歯がきちんと生えるスペースが少なくなって、歯並びがガタガタになったり、歯列が乱れることがあるのです。

そこで今回は、子供が虫歯やケガで乳歯を早期に失った時の対処法、保隙装置(スペースメンテナー)について解説していきます。ぜひ、最後までご一読ください。

▽先読み!この記事で分かること

  • 放置すると歯列が乱れる可能性がある
  • 保隙装置を入れて、歯列の乱れを予防する
  • 小児歯科・矯正歯科にて治療を受けられる
  • 虫歯リスクが高まるので丁寧な歯磨き習慣を

ご質問:ケガをして乳歯が早く抜けたときの対処法は?

ご質問をいただきました。

ご質問者様:3歳の息子さんのお母様

3歳の息子の乳歯について質問です。

先日、公園で遊んでいる時に思い切り転んで、上の前歯が1本抜けてしまいました。

夫は「乳歯はとにかく抜けるものだし、これから永久歯が生えてくるから気にしなくていいんじゃないの?」と言っております。

しかし、ネットで調べたところ、乳歯が早く抜けると治療が必要だと書いてあったのでどうすればよいか悩んでいます。息子はビビりなので歯医者が苦手です…。

対処法を教えてください。よろしくお願いします。

回答:歯科医院で適切な処置が必要です

質問に回答します。

お子様がケガをして乳歯が抜けてしまった場合、そのまま放置するのはNGです。

確かに、乳歯は永久歯に生え変わる時期に自然と抜け落ちますが、ケガをして乳歯を失ったり、虫歯によって早期に乳歯を抜いた場合、歯科医院で適切な処置が必要になります。

乳歯を早期に失った場合、そこにスペース(空隙)ができますので、両隣にある乳歯が空いたスペースに移動してきて、後から生えてくる永久歯が生える場所が狭くなってしまうのです。

そのまま放置していると、永久歯が生えてきたときに歯並びがガタガタになったり、八重歯や出っ歯など、歯列が乱れる可能性があるので注意が必要です。

一般的に、小児歯科では、虫歯やケガなどで早期に乳歯を失ってしまった時に、永久歯に生え変わるまでの間、「保隙装置(ほげきそうち)」と呼ばれる器具を入れる治療を行います。

「保隙装置(ほげきそうち)」を入れることで、永久歯が生えてくるスペースを保持して、歯並びが悪くなるのを予防することができます。

乳歯を早期に失ったまま放置していると、食事の際に食べ物を噛みにくくなったり、発音が上手くできなかったり、機能面にも影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。

お子様は歯医者が苦手なケースが多いですが、健康な口腔環境を維持するためにも、なるべく早めにかかりつけの小児歯科で診てもらい、適切な処置を受けましょう。

子供の乳歯が抜ける時期

まずは、子供の乳歯が自然と抜ける時期についてみていきましょう。

子供の乳歯が永久歯に生え変わる時期は、顎の成長によって個人差があるので一概には言えませんが、一般的には次のような流れになります。

子供の乳歯は2歳半~3歳くらいまでに生え揃い、5歳半~6歳頃に乳歯が抜け始めて、永久歯への生え変わりが始まり、12歳頃までに上下の全ての歯が永久歯になります。

乳歯の下には永久歯が生えてくる準備をしていて、永久歯が出てこようと半分くらい萌出してきます。次第に乳歯の根っこは溶けて短くなり(歯根吸収)、乳歯は自然と抜け落ちます。

乳歯は合計20本あり、下から乳歯がグラグラし始めて自然と抜けますが、グラグラしてもなかなか抜けない場合は自分で無理に抜かず、小児歯科にて抜歯してもらうとよいでしょう。

▽乳歯がぐらつき始めたときの対処法

乳歯がグラグラしてきた!自宅で抜いて大丈夫?歯医者さんで抜いてもらった方が良い? – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

虫歯やケガで早期に乳歯を失ってしまった時の対処法

子供は毎日元気いっぱいに遊んでいますので、転んでケガをしたり、何かにぶつけたりして、乳歯を早期に失ってしまうこともあるでしょう。

また、甘いものが大好きなお子様は、乳歯が虫歯になってしまい、歯科医院で抜歯して、早く乳歯が抜けてしまったケースもあると思います。

虫歯やケガによって早期に乳歯を失った場合、そのまま放置していると、永久歯が生えてきたときに歯並びが悪くなってしまうリスクがあるので注意が必要です。

そのような時は、なるべく早めに小児歯科にお口の状態を診てもらい、「保隙装置(ほげきそうち)」と呼ばれる器具を入れる治療が必要になります。

放置はNG!歯並びが悪くなるリスク

実は、歯にはすき間を埋めようとする性質があり、スペース(すき間)ができると、両隣にある乳歯が動いてきて、すき間を埋めようとするので、永久歯が生える場所が狭くなります。

永久歯がきれいに並ぶためにはスペースが必要ですが、乳歯が倒れこんでくると、永久歯が捻じれて生えてきたり、斜めに生えてくるので、叢生(ガタガタの歯列)になりやすいのです。

乳歯から永久歯に生え変わる時期は「少しすきっ歯かな?」と思う程度がちょうどよく、スペースが狭くなると、不正咬合になる可能性が高くなってしまうというわけです。

「乳歯はいずれ抜け落ちるし、すぐに永久歯が生えてくるから大丈夫!」と思っていると、歯並びが悪くなり、噛み合わせにも問題が起こる可能性があるので気を付けましょう。

小児歯科の治療で使われる「保隙装置」とは?

小児歯科の治療で使われる「保隙装置(ほげきそうち)」とは、抜けた歯によってできたスペース(すき間)を保つために入れる装置(スペースメンテナー)のことです。

「保隙装置(ほげきそうち)」を装着することで、スペースの両隣にある歯の傾斜を防いで、永久歯が正しい位置に生えてくるスペースを確保することができます。

「保隙装置」は歯並びを整える目的の矯正装置とは異なりますので、永久歯が生えてきたら外します。

歯の生え変わりによって自然に乳歯が抜け落ちた場合は保隙装置は不要ですが、乳歯を早期に脱落した場合は、早めにかかりつけの小児歯科に相談し、治療を受けることが大切です。

平成26年4月の社会保険診療報酬改定により「乳歯の保隙装置」と「外傷による乳歯の欠損に対する小児義歯」に保険の適用が認められましたので相談してみましょう。

参照:平成26年度診療報酬改定の概要

「保隙装置」の種類は?

保隙装置にはいくつか種類があり、取り外しのできるタイプと固定タイプがあります。

お子様のお口の中の状態、体の成長・発育によって使用する保隙装置は異なり、失った乳歯の場所や本数などによって最適なものを選択します。

バンドループ

出典:Space Maintainers

乳歯を失ったスペースを保持するために、歯にバンドを巻いて、そこにワイヤーなどのループを取り付けて、歯が倒れ込むのを防ぎます。ループの下から歯が生えてきたら取り外します。

クラウンループ

出典:Orthodontic Space Maintainers and Regaining in Foothills Ranch, CA | Roque Orthodontic Laboratories Inc

乳歯冠を被せることで支えとします。歯を失った部分をループで保つ仕組みはバンドループと同じです。バンドが巻けない場合にクラウンループを使用します。

インレーバー

出典:Space Maintainers for Children | Prescott Valley, AZ Dentist | Bradshaw Family Dental

インレーという金属の詰め物にバーを取り付けることで、歯のスペースを支えます。歯が倒れ込むのを防ぐことができます。

ディスタルシュー

出典: Modified Distal Shoe Appliance for Bilateral Early Loss of Primary Molars: Report of Four Cases | Semantic Scholar

一番奥に生えている第二乳臼歯を失った場合に、さらに奥から生えてくる6歳臼歯(第一大臼歯)が斜めに生えてくるのを防いで、正常な位置に促すための装置です。

リンガルアーチ(舌側弧線装置)

出典:Lingual Arch | Accutech Orthodontic Laboratory Products

固定式タイプの取り外しが出来ない装置です。奥歯(大臼歯、もしくは乳臼歯)に輪っか状のバンドを装着し、歯の裏側に太い針金を通してて歯を2mmくらい動かしていきます。

小児義歯

出典:Can Children Get Dentures?

早期に乳歯を失ってしまった時に使う子供用の義歯(入れ歯)です。簡単に自分で付け外しができます。永久歯が生えてくるのに必要となるスペースを確保します。

保隙装置を使用する時の3つの注意点

保隙装置を使用する時の注意点について解説します。

①小児歯科・矯正歯科に相談しましょう

保隙装置は乳歯が生えている子供に対してのみ使う器具になります。

一般的な歯科医院では保隙装置を用いた治療は基本的には行っていませんので、一般的な歯科医院で乳歯を抜歯した場合、抜けた状態のまま様子を見ることになるでしょう。

小児歯科や矯正歯科であれば、保隙装置の治療を受けることができますので、子供の将来の歯並びとお口の健康のためにも、小児歯科もしくは矯正歯科を受診されることをおすすめします。

②定期的に診療を受けましょう

保隙装置をつけている間は、メンテナンスが必要になりますので、かかりつけの小児歯科、矯正歯科の診療を定期的に受けましょう。

万が一、保隙装置が外れてしまったり、不具合があった場合は歯医者さんに診てもらってください。自分で無理に付け直すと変形したり、誤飲のリスクがあるので気を付けてください。

③丁寧な歯磨き習慣を

保隙装置をつけている間は汚れが溜まりやすく、また歯ブラシが届きにくい箇所が増えますので歯磨きが難しくなります。虫歯リスクが高まるので注意が必要です。

お子様が小さいうちは保護者様が歯磨きのサポートをしながら、丁寧に歯磨きをする習慣を付けて、お口の中の状態を清潔に保ちましょう。

子供の歯並びのご相談・定期検診は「abc dental」へお気軽にどうぞ

虫歯やケガによって、乳歯が早期に失われた場合には、なるべく早めに小児歯科や矯正歯科で保隙装置の処置を受けるようにしましょう。

将来、永久歯が生え揃ったときに歯並びや噛み合わせに問題が出てきたり、食事では咀嚼や嚥下など、口腔内機能にも影響が出る可能性があるので、早期の治療が推奨されます

お子様の乳歯で気になる方は、ぜひお子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「abc dental」の無料カウンセリングをご利用くださいませ。

▽子供の歯並びがデコボコになった時の対処法はコチラ!

【子供の叢生】乳歯が抜けて永久歯がデコボコになって生えてきた時の対処法 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

まとめ

乳歯が自然に抜ける前に失った時の対処法についてご紹介しました。適切な治療を受けるために小児歯科もしくは矯正歯科を受診されることをおすすめします。

東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。