子どもの矯正は痛みを感じにくい3つの理由を解説

「近年の小児矯正では取外し可能な装置を使うため、痛みがほとんどなく、想定されているよりもお子様に負担をかけずに治療を受けることができます。この記事では、小児矯正治療は痛みを感じにくい3つの理由を分かりやすく解説します。」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「abc dental」の院長です。

いつもブログとInstagram(@abcdental11)を見ていただいてありがとうございます。

子供の歯並びを矯正治療できれいに整えてあげたいけれど、「きっと痛みが出るから辛そうだな…」「痛いから大人になってからで…」と思われていませんか?

親御様世代は「矯正」と聞くと、ワイヤーを通したマルチブラケット装置を使う治療法が一般的であったため、どうしても「痛い」というイメージがあるようです。

しかし、近年の小児矯正では取外し可能な装置を使うため、痛みがほとんどなく、想定されているよりもお子様に負担をかけずに治療を受けることができます。

この記事では、小児矯正治療は痛みを感じにくい3つの理由について、分かりやすく解説します。

▽先読み!この記事で分かること

・小児矯正の治療法は痛みはほとんどない

・最初の2日〜3日間くらい違和感がある

・小学校低学年の子でも我慢できる

・なるべく早めに矯正治療を開始する

ご質問:子供の矯正治療はどれくらい痛みがありますか?

ご質問をいただきました。

ご質問者様:7歳の娘さんのお母様

最近、娘が近所のお友達と公園で遊んでいる時に、スマホで写真を撮ったのですが、娘の歯並びが若干、出っ歯気味になっていることに気が付きました。

お友達と笑って並んでいると、横から見た時に歯が飛び出していて目立つので、将来のために、これから矯正治療を受けさせてあげようと考えています。

そこで質問です。

矯正治療を受ける上で、痛みはどの程度あるでしょうか?歯が動くと痛いとよく聞きますが、娘は注射する時もビビるので、痛みに耐えられそうもありません。

痛みが少ない矯正治療があれば、教えてほしいです。よろしくお願いします。

回答:近年主流の小児矯正の治療法は痛みはほとんどありません

質問に回答します。

歯並びが出っ歯気味である場合、上の前歯が前に傾斜している、もしくは上顎の歯列全体が前に出ている状態にあり、「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれる不正咬合の可能性があります。

「上顎前突」になる原因は、骨格的な遺伝が多く、その他にも上下の顎の発育バランスが悪かったり、下顎の成長が不十分で、上顎だけ過成長した場合にも起こりえる症状です。

子供に多い不正咬合の一つで、リスクとしては、前歯で食べ物を噛みづらくなったり、消化吸収に影響を及ぼしたり、口呼吸になりやすい、発音が不明瞭になることがあります。

いわゆる「出っ歯」になると、上の前歯だけが突出しているので横顔の口元が目立ち、将来見た目を気にされるかもしれませんので、矯正を検討される価値はあるでしょう。

ご心配されている小児矯正の痛みについてですが、近年の小児矯正はマウスピースや拡大床と呼ばれるプレートタイプの装置を用いることが多く、痛みはほとんどありません。

マウスピース矯正治療は、従来のワイヤー矯正と比べると痛みを感じにくく、痛みが苦手なお子様も比較的すぐに慣れて治療を続けることができます。

矯正装置を初めて付けた日から数日間は若干の違和感がありますが、子供の適応能力は素晴らしく、すぐ慣れて馴染みますので、痛みに関して過度に心配されなくてもよいでしょう。

親世代が考える子供の矯正=「痛い」は誤解?

今の親世代が考える子供の矯正は、「ワイヤー矯正」のイメージが強いため、どうしても痛みが出ると思われている親御様は多いです。

実際に、親御様自身が子供の頃、もしくは大人になってから矯正を経験された方は、「ワイヤー矯正をして痛かった」という記憶があるかもしれません。

子供の矯正治療でどれだけ痛みを感じるかどうかは、年齢や個人差によって変わりますが、どんな矯正装置を使うかによっても異なります。

ワイヤーが付いたマルチブラケット装置はワイヤーが戻ろうとする力が働くので、最も痛みが強く出やすく、人によっては歯全体が締め付けられるような痛みを感じることがあります。

一般的にマルチブラケット装置は基本的に永久歯が生え揃った12歳頃から使われるもので、ワイヤー矯正は顎の成長が終わった頃(大人になってから)に行われる治療法です。

一方で、小児矯正の場合は、乳歯の時期、もしくは乳歯と永久歯が混合した生え変わり時期に行いますので、顎が成長段階では痛みが出やすいマルチブラケット装置を使用することはありません。

子供の矯正は歯並びがきれいに並ぶスペースを確保するために、拡大床やマウスピース型の装置、人によっては急速拡大装置などの固定式の装置を使って、骨格を整えていきます

初めて拡大床やマウスピース型を装着したときは、2日〜3日間くらい違和感がありますが、次第に慣れていき、小学校低学年の子でも我慢できることがほとんどです。

子供の矯正は痛みを感じにくい3つの理由

ここからは、子供の矯正は大人の矯正とは違って、痛みを感じにくい3つの理由について詳しくみていきましょう。

1)成長途中は骨が柔らかく、歯が動きやすいから

子供の矯正治療は、上下の顎が成長している過程で行われますので、口周りの組織や筋肉が柔らかい状態にあります。子供の歯は動きやすく、治療中も痛みは少なくなります

そもそも、小児矯正を行う目的は、顎の成長を利用しながら、永久歯が生え揃った時にきれいに並ぶために十分なスペースを確保して、歯並び・かみ合わせの土台を作るためです。

一方で、大人の矯正治療の場合、かみ合わせを改善して、歯並びをきれいに整えて、見た目をよくするために行われます。

▽子供の矯正と大人の矯正

・子供の歯の矯正          3歳~5歳

・生え変わり時期の矯正(1期矯正)   6歳~12歳

・大人の歯の時期の矯正(2期矯正)   12歳~

大人になると上下の顎の成長は止まった状態で既に完成されていますので、子供の歯と比べて動きにくく、ワイヤー矯正によって長期的な治療が必要になることが多いです。

また、大人の矯正は歯が動くスペースを作るために、抜歯しなければならないケースがありますが、子供の矯正は抜歯せずに行えるため、子供の負担をかけずに治療することができます

2)子供の適応能力は非常に高いから

小児矯正治療は痛みが出にくい理由の一つに、子供の高い適応能力が挙げられます。

子供は大人と比べて適応する力に優れていて、初日にマウスピース装着をして違和感があって痛みが出たとしても、3日間くらい経つとすぐに慣れて、痛みを感じなくなります

親御様はどうしても痛みが気になって、「うちの子は我慢できるかしら…」と心配される方が多いですが、痛みが我慢できずに諦めてしまうケースはほとんどありません

万が一、2日〜3日経っても強い痛みが続くようであれば、担当の歯科医に早めに相談して、装置を調整してもらうことをおすすめします。

矯正装置を調整すると、当日の夜もしくは翌日の朝に痛みが出ることがありますが、痛みは徐々に緩和されます。矯正治療中ずっと痛みが続くことはありませんので安心してください。

3)マウスピースや拡大床は痛みを感じにくい

小児矯正は乳歯時期、もしくは6歳〜12歳頃の乳歯と永久歯が混合している混合歯列期と呼ばれる時期に行われます。

最も痛みが出やすいワイヤーや金属を使わず、マウスピース矯正や床矯正、急速拡大装置などを使った治療が主流です。

近年、人気のあるマウスピース矯正とは、患者様一人ひとりの歯型を採取して、歯にピタリと密着するマウスピース装置を制作し、適切な圧をかけて歯を動かす治療法になります。

マウスピース装置を初めて付けた時には異物が入った違和感や締めつけ感を感じますが、3日程度で慣れますので、痛みが辛くて我慢できないケースはほとんどありません。

現代の子供は歯の大きさに対して顎が小さいことが多く、歯がきれいに並ぶスペースがないために歯並びが悪くなりやすく、様々な不正咬合の症状が現れます。

そういった症状には、歯列の幅を広げていくために、歯の裏側から装置を取り付けて、歯が並ぶスペースを拡大する「床矯正(しょうきょうせい)」と呼ばれる治療法があります。

子供のうちに床矯正でお口の中にスペースを作っておけば、永久歯が生え揃ってからでも抜歯をしなくても済むメリットがあります。

子供の矯正中に痛みを防ぐ3つの対策法

ここからは、痛みが心配な方に矯正中の痛みを防ぐ3つの対策法をご紹介します。

早めに矯正治療を開始する

矯正治療の適切な開始時期は人によって異なり、歯科医院での診断・精密検査が必要になりますが、一般的に痛みを少しでも抑えたい方は早めに治療を検討しましょう。

中学生頃になると永久歯が生えて、ほぼ大人の歯並びになりますので、乳歯と永久歯が混合している混合歯列期(小学生、6歳~12歳頃)に治療を開始されると痛みには慣れやすいです。

痛みの感じ方は個人差もありますので一概にはいえませんが、成長するほど痛みを感じやすくなりますので、なるべく小学校低学年までに治療を始めることをおすすめします。

硬い食べ物に気をつける

小児矯正中に食べ物の制限はありませんが、矯正中は極端に硬い食べ物は避けたほうが痛みは起こりにくいです。

例えば、フランスパンやバゲットなどの硬いパン、おせんべい、アーモンド、スルメなどを食べると骨の吸収による痛みが出ることがあるので気をつけましょう。

矯正中に硬いものを食べるときには、食材をなるべく細かく砕いてから、噛むようにすると安心です。

スポーツ中の破損に注意する

スポーツをされている、運動部に入っているお子様もマウスピース矯正が可能で、付けたまま運動することができますが、激しくぶつかる競技では破損するリスクがあるので要注意です。

マウスピース装置が破損した場合、口の中の粘膜や舌が擦れて、痛みが強く出る可能性がありますので、一旦取り外して早めに担当の歯科医に診てもらいましょう。

痛みを抑えた小児矯正のご相談は「abc dental」へお気軽にどうぞ

当院「abc dental」では小さなお子様も安心して取り組んでいただけるように、痛みを最小限に抑えた治療を心がけ、明るい院内におもちゃや動画など、至るところに工夫しています。

お子様の歯並びが気になる方は、ぜひお子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「abc dental」の無料カウンセリングをご利用くださいませ。

まとめ

「子供が矯正の痛みに我慢できるかな…」とご心配される親御様は多く見られますが、ここまで見てきたとおり、子供の矯正は大人の矯正よりも痛みを抑えた治療が可能です。

子供の適応能力は素晴らしいので、治療中の痛みを過度に心配する必要はありませんので、ぜひ安心して治療に取り組んでいただきたいと思います。