
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「abc dental」の院長です。
いつもブログとInstagram(@abcdental11)を見ていただいてありがとうございます。
最近、「子供の顎がシャクレ気味になってきた…」、「これって受け口かな?」、「顎が前に突き出て目立つ!」と気になっていませんか?
子供の下あごや下の前歯が前に突き出ているいわゆる「受け口」とは「反対咬合(下顎前突)」といわれる歯並びの症状です。
「反対咬合」はしゃくれた見た目の問題だけでなく、かみ合わせの問題や発音がしにくい、咀嚼が難しくなる、といった歯と顎の様々な機能に悪影響を与えます。
反対咬合(受け口)は自然治癒する可能性はほとんどありませんので、低年齢のうちに早期治療することが推奨されています。
そこで今回は、子供の反対咬合(受け口)は自然に治らない原因、そして子供のうちに早期治療すべき理由について、小児歯科医が分かりやすく解説します。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです
▽先読み!この記事で分かること
・子供の受け口(反対咬合)症状と原因
・反対咬合が自然に治るケースはほぼなし
・反対咬合は子供のうちに治療開始した方が良い
・治療を治しても再発するリスクについて
ご質問:子供の反対咬合(受け口)は自然に治る?治療しても意味ない?

ご質問をいただきました。
ご質問者様:2歳の娘さんと5歳の息子さんのお母様
子供たち二人とも受け口(反対咬合)です。
矯正治療をするべきか?やるとしたら、いつ始めるべきか悩んでいます。
友人に聞いたところ、その友人の子供は生え変わりの時に反対咬合が自然に治ったそうです。
別の友人は、「子供の頃に反対咬合を治しても、大人になったらまた元に戻るから矯正しても意味ないよ」といわれて考えているうちに分からなくなってしまいました。
何か、アドバイスいただけると助かります。
回答:反対咬合が自然治癒する可能性はほぼなし!低年齢からの治療を推奨します
ご質問ありがとうございます。
早速、結論からお答えしますと、子供の反対咬合が成長過程において自然に治る、という可能性は非常に低いです。つまり、ほとんどのケースで自然治癒は難しいといえます。
歯科医師同士の会話では「反対咬合は自然に治った」というケースは10年に1人いるかいないかくらいの割合です。放っておいても治る可能性はほぼゼロに近いです。
お子様の場合、成長するにつれて骨格が変形していきますので、大人になると受け口傾向が強まる可能性が高くなりますので、低年齢のうちに早めの治療が推奨されています。
反対咬合を早期に矯正治療することで、顎の骨格的な原因からアプローチできるため、ご質問者様が心配されている再発リスクも予防することが可能です。
では早速、順番に詳しくみていきましょう。
子供の反対咬合(受け口)症状

まずは、「反対咬合(下顎前突)」とはどんな症状なのか簡単にみていきましょう。
「反対咬合(下顎前突)」とは、下顎が前に突き出ていて、上の前歯よりも下の前歯が前に出ている歯並びの状態のことをいいます。一般的に「受け口」といわれる歯並びのことです。
本来の正しいかみ合わせは、上の前歯が下の前歯に1/3くらい被さっている状態にありますが、反対咬合では逆になっており、下の前歯が前方に突出しているため、口が閉じにくくなります。
▽反対咬合(受け口)が引き起こす問題 ※症状より個人差があります
・顔全体の見た目が悪くなる
・発音がしにくい(舌足らず)
・咀嚼が難しくなる
・虫歯や歯周病リスクが高まる
・口呼吸になりやすい
・肩こりや頭痛など
・顎関節症になる可能性
子供が奥歯をかみ合わせた時に、下の前歯が上の前歯よりも突き出ている場合は「反対咬合」の症状があると考えられます。
子供が反対咬合(受け口)になってしまう原因は?
では、なぜ反対咬合になってしまうのでしょうか?
反対咬合なってしまう原因は大きく分けて2つあり、歯並びに原因がある場合(歯が斜めに生える)と骨格(上顎と下顎のバランス)に原因がある場合があります。
ご両親のどちらかに反対咬合がある場合は、前歯の位置や歯の生え方、上顎の成長が不十分になる骨格的な要因が子供に遺伝して、反対咬合になる可能性があります。
その他にも、舌が短く上顎が十分な大きさに成長できないケースや口呼吸のクセ、指しゃぶりや舌で下の歯を前に押すクセなど、後天的な原因で受け口になる事があるので要注意です。
子供の反対咬合(受け口)が自然に治る可能性は低い

当院の歯科治療の現場において、患者様から「反対咬合が自然に治りました」という話を聞くことが時々あり、ネット上でも自力で治す方法を求めている方が多いようです。
しかし、歯科医師同士で話していると、反対咬合が自然に治ったというケースは全く聞きません。そこで、なぜ自然に治ったと思われるのか分析してみたところ、ある事がわかりました。
それは、見た目では受け口に見えるため、ご両親は「これは反対咬合だ」と思い込んでいたが、実はそうではなかったというケースです。
骨格的には問題がなく反対咬合ではないけれど、前歯だけが傾いていたために、反対咬合に見えていただけ、という可能性があります。
もしくは、歯並びや骨格的にも問題がなく、反対咬合ではないけれど、子供が顎を前に出す癖があったために、ご両親が反対咬合であると思い込んでいたケースも考えられますね。
このように、実際には反対咬合の症状ではないけれど、ご両親がそう思い込んでいたケースがほとんどだと思われます。
残念ながら、子供の反対咬合が自然に治る確率は非常に低いです。逆に放置すると、成長するにつれて骨格的な悪影響が大きくなり、反対咬合の症状が強くなる可能性が高いです。
反対咬合のほとんどのケースで経過観察だけで改善することはありませんので、「反対咬合かな?」と思ったら、早めに歯科医院に相談しましょう。
子供の反対咬合(受け口)の治し方・治療方法について

ここからは、反対咬合の症状がある場合の治療法についてみていきます。
子供の反対咬合(受け口)の治療は、保険適用ではなく自由診療がほとんどです。
まずは、歯科医がお子様の歯並びや顎の大きさ、成長具合などをレントゲン撮影、歯型などの検査を行って診療し、反対咬合になった原因を明確にした上で、適切な治療法を決めます。
上下の顎の成長に問題があったり、骨格的な要因がある場合は、子供の顎の成長を活用しながら、口周りの筋肉やあごの骨のバランスを整えて治療を進めていきます。
主に使用する矯正装置は、マウスピース装置、上顎の成長を促すための「フェイスマスク(上顎前方牽引装置)」、歯列や顎を広げるための「拡大床(装置)」などが挙げられます。
矯正装置は初めに若干の違和感がありますが、次第に慣れますので装着時に痛みはほとんどありません。治療期間は個人差がありますが、約1年から1年半くらいです。
実際にどんな治療法で行うか、患者様によって異なりますので、気になる方は小児矯正の専門歯科医院に診てもらうことをおすすめします。
子供の反対咬合(受け口)矯正治療はいつからがベスト?

反対咬合は自然には治らないと分かったところで、「では、すぐに治療しないといけませんか?」と気になるところだと思います。
子供の反対咬合(受け口)矯正治療を開始する時期は人によって異なりますが、一般的には6歳くらいまでがベストです。
反対咬合の症状は、下顎より上顎の成長が遅れているため、上顎は下顎より成長が早く終わってしまい、下顎だけが大きく成長してしまいます。
上顎骨の成長は5歳くらいまでがピークで10歳を過ぎるとほぼ止まりますので、6歳くらいまでに治療を開始すれば、顎の成長をコントロールしながら治療することが可能です。
子供の反対咬合(受け口)の治療は低年齢のうちに始めるメリット
低年齢の頃に反対咬合(受け口)の治療を始めるメリットは以下の点が挙げられます。
・顎の成長を活用しながら、根本的な改善になる
・正しい咬み合わせ、歯並びになる
・悪癖を取り除くことができる
・顎関節症を引き起こすリスクが下がる
・外科的な治療を避けられる
反対咬合(受け口)矯正治療は大人になってからでも良いの?
大人になってから治療を始めることも可能ですが、下顎の骨を小さくするために、顎の骨を削ったり、歯を抜いたりする必要が出てくるケースがあり、治療の負担が大きくなります。
そのため、上顎がまだ成長している子供のうちに治療をした方が治療の負担を軽減することができる上に、骨格から根本的な原因を改善することに繋がるのです。
例えば、舌を押し出すクセや口呼吸などが習慣化すると、大人になってから受け口の症状が強く出てしまう可能性があるので、早期治療が望まれます。
歯並びの問題はなるべく低年齢のうちに始めたほうがメリットは大きく、特に反対咬合の場合は大人になってからよりも、子供の内に早期治療が推奨されています。
反対咬合(受け口)の治療後に再発するリスクはある?
最後に、反対咬合(受け口)の治療後に再発するリスクについてみてきましょう。
矯正治療では再発を防ぐために、治療後も定期的な定期検診にて(3ヵ月~半年に1回程度)チェックしてもらうことが大切です。
顎の成長を活用した小児矯正の場合、再発する可能性はほとんどありません。
ただし、再発リスクの確率は非常に低いのですが、反対咬合が再発した症例を稀に見ることがあります。(正常咬合の方が、中高生で反対咬合になってしまうパターンも含めます)
下顎が大きく成長する12歳〜16歳ぐらい(中学高校)の時期に下顎を出す癖や舌で下の前歯を押す癖があったりすると、正常咬合であっても一気に反対咬合になる可能性があります。
よって、子供の時に反対咬合を治療済みであっても、後から悪癖や舌のクセによって反対咬合になるケースもあるのです。
子供のうちに治療することで、このような悪癖による再発リスクも防ぐことができますので、はやり下顎が成長する前、6歳までには治療を開始されることが推奨されます。
反対咬合の治療においては、上下顎の成長期が重要なポイントになりますので、まずは歯科医院で診療を受けることをおすすめします。
まとめ
子供の反対咬合(受け口)はしゃくれた見た目だけの問題ではなく、発音がしにくい、咀嚼がしにくい、虫歯や歯周病リスク、顎関節症になる可能性まで、様々な影響を与えます。
小児矯正は、成長を活用しながら、顎を良い方向に成長させてあげる治し方が可能です。矯正による後戻りを防ぎたければ、なるべく低年齢からの治療開始をおすすめします。
小児矯正のご相談は大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「abc dental」までどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。
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