舌の位置が低い子供は歯並びに影響を及ぼす?改善方法を歯科医が解説!

「意外と知らない 正しい舌の位置 舌の位置がズレてしまう理由、改善方法について小児歯科が分かりやすく解説していきます。最近の子供たちは、舌の位置が下がり気味の傾向にあり、歯並びの悪さや健康への影響も指摘されています。」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にあるABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科の院長です。

いつもブログとInstagram@abcdental11を見ていただいてありがとうございます。

子供は成長するにつれて、顎が発達して大きくなりますが、同時にきれいに歯が並ぶためには「舌が正しい位置にある」ことが重要なポイントです。

普段はあまり気にならない「舌の位置」ですが、最近の子供たちは、舌の位置が下がり気味の傾向にあり、歯並びの悪さや健康への影響も指摘されています。

そこで今回は、意外と知らない「正しい舌の位置」と舌の位置がズレてしまう理由、改善方法について小児歯科が分かりやすく解説していきますので、参考にしてみてくださいね。

▽先読み!この記事で分かること

・正しい舌の位置は健康のために大切

・舌の位置は歯並びや顎の成長に影響する

・舌の位置が悪くなるのは口呼吸や舌癖が原因

・舌の位置は改善できる

ご質問:舌に良い位置、悪い位置があるの?

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ご質問をいただきました。

ご質問者様:3歳と6歳のお子様のお母様

この間、小児歯科医院で歯科検診を受けた時に、担当の歯科医に「舌の位置がよくない」と指摘されました

今まで舌の位置を気にしたことがなかったので、舌に正しい位置とか悪い位置というものがあると初めて知りました。

家庭ではどうやってチェックすればよいのか、もし舌が悪い位置にあったらどんな健康的なデメリットがあるのか知りたいです。

よろしくお願いします。

回答:舌の位置は歯並びや健康に影響します

ご質問ありがとうございます。

舌の位置に良い悪いは確かにあります。

「正常な舌の位置」とは、舌が上あごにピッタリと吸い付くようにくっついている状態です。

冒頭にも述べましたが、最近の子供たちは、舌の位置が正常な位置よりも低い状態にあり、これを正式に「低位舌(ていいぜつ)」と呼びます。

舌の位置が下がっていると、無意識のうちに舌で下の前歯を押してしまうので、 下顎が通常よりも前方に成長することになり、結果的に反対咬合(受け口)になるケースがあるのです。

舌の位置が悪いと顎の成長に影響して歯並びが悪くなるだけでなく、滑舌が悪くなったり、口呼吸になってアレルギー発症リスクの弊害が考えられます。

下の前歯が上の前歯よりも前に出ている「下顎前突症(かがくぜんとつしょう)」になると、食べ物をきちんと噛んだり飲み込んだりできない、口が閉じにくくなってうまく話せない症状が出てきます。

このように、舌の位置の悪さは歯並びや様々な健康に影響を及ぼしますので、正しい舌の位置を知って子供のうちに改善しておくことが大切です。

それでは、ご家庭でできるセルフチェックや原因と対策について詳しくみていきましょう。

正しい舌の位置はココ!


正しい舌の位置はリラックスしている時に、舌先が上の前歯の裏側(凹んだところ)にあります。この位置を「スポット」といい、舌全体が上顎にピタリと付いた状態です。

舌の位置がに上顎の前歯の裏側にある「スポット」におさまっていれば、上あごの成長を支えて舌の筋肉が発達し、気道が開いて呼吸がしやすく、自然と口を閉じることができます。

舌の位置を普段意識することはないかもしれませんが、子供のうちから正しい舌の位置を覚えて、間違った位置にあれば、トレーニングや生活習慣を改善しておくことが大切です。

舌の位置が悪い「低位舌(ていいぜつ)」とは?

「低位舌(ていいぜつ)」とはその名のとおり、舌の位置が正常より低い位置にある状態にあります。

低位舌になると、無意識に下の前歯の後ろあたりを押し付けてしまうので気道が狭くなり、口呼吸になる傾向にあります。リラックスしている時にお口がポカンと開いてしまうのです。

舌の筋肉が十分に発達せず、舌の表側が上顎にピタリと付けることが難しくなりますので、上顎に舌をつける発音(タ行やナ行)がしにくい、舌の動きによって滑舌が悪くなります

家庭でやってみよう!舌の位置をセルフチェック


ここからは、ご家庭でお子様の舌の位置が正しいポジションにあるか、セルフチェックのやり方をご紹介します。

チェック①しばらくの間、舌をスポット(上の前歯の裏側、凹んだところ)に当ててみる

・問題なくできた→舌の位置は正常です。

・難しい・口の中が疲れる→舌の位置が下がっている「低位舌」の可能性があります。

チェック②無意識ときに口元はどうか?

・常に閉じている、上下の唇が付いている→問題ありません。

・口がポカンと開いている→舌が下顎に密着しており、「低位舌」の可能性があります。

チェック③水を飲み込む時の舌の位置は?

・口の中におさまっている→問題ありません

・舌が前に出ている、飲みにくそう→舌で下顎の前歯を押しながら飲み込む、「低位舌」の可能性があります。

どうでしたか?

お子様がテレビを見ていたり絵本を読んでいる時に、お口がポカンと空いていたり、食べにくい飲みにくい、滑舌が悪く話しにくい、といった場合は、「低位舌」の可能性があります。

もし、お子様が「低位舌かな?」と思ったら、早めに歯科医院にチェックしてもらい、お口と健康のためにも、正しい舌の位置に改善するために対策を取りましょう。

子どもの舌の位置が下がる原因と症状

笑顔の女の子

ここからは子供の舌の位置が下がる原因と症状について解説してきます。

①口呼吸(お口がポカンと開いている)

お子様が無意識に前を向いている時に、お口がポカンと開いている場合、舌を上顎の高い位置に収めることができず、舌の位置が下がった状態になります。

舌の位置が下がると気道が狭くなりますので、常に口を開いた状態で口から呼吸をするようになってしまうのです。低位舌と口呼吸が原因で、顔貌にも悪影響を及ぼすことがあります。

②発音・滑舌が悪い

舌は正しく発音するために大事な役割があります。「低位舌(ていいぜつ)」の症状が見られるお子様は舌の筋力が下がるため、発音が悪くなったり、滑舌が悪くなる傾向にあります。

舌を上顎全体に付けることが難しいので、特にサ行・タ行・ナ行などの発音がしにくく、舌っ足らずな話し方になるお子様も多いです。

③食べる時にクチャクチャ音がする

舌の位置が下がっていて舌の筋力が弱いと、口の中で舌を使って食べ物を潰したり、形を変えながら食べることができないため、食べている時にクチャクチャと音がします。

飲み込む時に舌を上に上げられないため、飲み物で流し込むようになり、誤嚥によって肺の中で細菌が繁殖して炎症を起こす「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」のリスクも高まります。

④舌の筋力不足

「低位舌(ていいぜつ)」の症状があるお子様は、舌の筋力不足により、舌を下の前歯の後ろに押し付ける癖が見られます。舌の側面にギザギザの歯型の跡が付いていることもあります。

⑤いびきをかく

舌の位置が低いと気道を塞いでしまうため、睡眠中にいびきをかくことが多いです。

低位舌は口呼吸になってしまうのでドライマウスになりやすく、喉に細菌やウイルスが直接入り、風邪を引きやすいので注意が必要です。

舌の位置が歯並びに影響する理由

三歳児の女の子のポートレート

赤ちゃんが生まれてきた頃は、舌の位置はきちんと上顎のスポットにおさまっています。

しかし、先程説明したような様々な原因によって、「低位舌」になってしまうのです。

「低位舌」になると食べたり飲んだりする時に舌が前に出てしまい、飲み込むたびに舌の先で下の前歯を押し出す力が強くなるのです。これが歯並びが悪くなる原因となります。

上の歯と下の歯が噛み合わない「開咬」、下顎が通常よりも前方に成長して「反対咬合(受け口)」、上の前歯が下の前歯より前に突出した「出っ歯」になることがあるので要注意です。

低位舌では上顎が適切に成長しませんので上顎が小さくなり、上下の歯に余分な力を与えてしまうので、かみ合わせの悪さや歯並びの悪化に繋がります。

小児歯科医では子供の歯並びが悪くなる原因を突き止めるために、鼻呼吸になっているか、舌の位置、飲み込み方、姿勢などをチェックします。

舌の位置による体への影響

舌の位置はかみ合わせや歯並びに影響するだけでなく、体にも様々な影響を及ぼします。

▽舌の位置による体への影響

発音がしにくい、滑舌が悪くなる

口呼吸によるアレルギー発症リスク

顎関節や咀嚼時の痛みなど

舌の位置は正しく発音するために大切な役割があり、発音しにくく、滑舌が悪くなり、舌足らずで聞き取りにくい話し方になってしまうことがあります。

舌の位置が下がっていると気管と食道の分岐を妨げて気道が狭くなり、鼻から息を吸う鼻呼吸がうまくできず、口から息を吸う口呼吸になりがちです。

口から息を吸うと、細菌やウィルス、アレルゲン、有害物質などを体内に取り込んでしまい、アレルギー発症のリスクも考えられますので、早めに鼻呼吸に改善することが大切です。

低位舌を改善する方法は?

お子様が「低位舌」の状態にあると分かったら、きれいな歯並びと健康のためにも、早めに正しい舌の位置に改善していきましょう。では、舌の位置の治し方をご紹介します。

舌の筋肉トレーニングをする

正しい舌の位置に改善するには、「舌の筋肉トレーニング」をすると効果的です。

①「あいうべ体操」

・舌の筋肉(舌筋)を鍛えられる体操です。

・口呼吸から鼻呼吸に改善することができます。

やり方:あー、いー、うー、べー、のお口をつくる

一日30回を目安に繰り返してください。

②「ガムトレーニング」

・口唇の筋力を強化します。

・口を自然に閉じやすくします。

やり方:キシリトール入りのガムを噛んで舌の上で丸めます。

ガムを上の前歯につけて、約3秒間、ガムを押して広げます。

1日に3分以上を目安に繰り返してください。

③口腔筋機能療法(MFT)

・誤った舌の癖を改善し、唇や頬の周りの筋肉をトレーニングします。

・正しい舌の動きを覚えて習慣化します。

やり方:小児歯科での指導のもと、ご家庭でも併用してとトレーニングを行います。

正しい飲み込み動作、発音をできるようになり、お口まわりの筋肉を鍛えることができます。

3週間〜月1回程度、1回あたり15分です。

小児歯科で矯正治療を受ける

舌の位置が悪く、かみ合わせや歯並びに影響が出てきている場合は、小児歯科で矯正治療を受けることで、舌の位置を改善し、同時に歯並びを整えることができます。

低位舌を改善して、歯並びを治すために、急速拡大装置、拡大床、マイオブレース、ワイヤー矯正などの矯正装置を使用します。

舌が上の顎に自然とつくような状態にするため、矯正装置を使用して舌の癖が改善されると、上顎が本来の大きさまで十分に発達して、歯が並ぶスペースを確保できるでしょう。

マウスピース型の装置は自分で取り外しができ、お口のケアもしやすく痛みは伴いません。

根本の原因から改善していくため、大人になってから歯並びは後戻りはしにくいです。

まとめ

大田区田園調布のABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科

正しい舌の位置を意識することは、かみ合わせや歯並びはもちろんのこと、体の健康のためにも大事なポイントです。

当院は、お子様の予防矯正に力を入れており、顎を適切に発育させ、お口の周辺の機能の改善を図るためのトレーニングを取り入れております。

舌を正しい位置に導く筋力トレーニング、授乳や離乳食で気をつけたいことなど、低位舌を予防するためのアドバイスも行っておりますので、お気軽にご相談ください。

当院では、痛みがほとんどない、抜歯不要のマウスピース型矯正装置を採用しており、ご自宅でも楽しみながらできる訓練法が好評です。

小児矯正のご相談は大田区田園調布にあるABC Dental 子ども専門 小児歯科 矯正歯科までどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。

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