子どものMFT矯正|舌と口の筋機能トレーニング

マウスピース矯正_筋機能療法

小児の筋機能トレーニング(MFT)をやさしく解説。目的(鼻呼吸・舌位・嚥下・口唇閉鎖)、適応の目安、当院での流れ、家庭での続け方、費用・期間、起こり得るリスクや限界も丁寧にご説明します。

「 口腔筋機能療法(MFT) とは、顎や頭の成長期(3歳くらい〜5歳くらい)のお子様を対象に、お口と顔周りの筋肉を鍛えるトレーニング方法。トレーニング方法と効果について解説しています。」

小児矯正を始めた方、これから子供の矯正をご検討中の方は「口腔筋機能療法(MFT)」と呼ばれるトレーニング方法を聞いたことがあるかもしれません。

子供の「口腔筋機能療法(MFT)」とは、顎や頭の成長期(3歳くらい〜5歳くらい)のお子様を対象に、お口と顔周りの筋肉を鍛えるトレーニング方法になります。

歯並びに悪影響を与える指しゃぶりや舌の癖といった習慣を取り除いて、正しい歯並びと咬み合わせにすることができるだけでなく、全身の健康や美容効果も期待できる療法です。

そこで本記事では、小児矯正の口腔筋機能療法(MFT)のトレーニング方法、目的・効果について解説していきますので、ぜひご一読いただければ幸いです。

▽先読み!この記事で分かること

・小児矯正における大事なトレーニング

・舌の位置や口腔全体の機能を改善する

・体の健康と小顔効果など美容効果も期待できる

・毎日コツコツとご自宅でも行う必要がある

ご質問:小児矯正の口腔筋機能療法(MFT)の目的と効果とは?

ご質問をいただきました。

ご質問者様:5歳の娘さんのお母様

娘の前歯が斜めに出っ張って生えてきたのが気になり、歯医者さんに歯並びを診てもらいました。「上顎前突」という症状と診断されたため、小児矯正を受けることを検討しています。

小児矯正治療はインビザラインに興味があるのですが、歯科医の先生から、矯正治療と一緒に「口腔筋機能療法(MFT)」というトレーニングも行いますと説明を受けました。

「口腔筋機能療法(MFT)」は初めて聞いたのですが、何の目的で行い、どういった効果があるのでしょうか?教えていただきたいです。よろしくお願いします。

回答:口腔全体の機能改善を目的に正しい歯並びと咬み合わせに導きます

質問に回答します。

「口腔筋機能療法(MFT)」は小児矯正における大事なトレーニングの一つです。

顎の成長期にあたる3〜5歳くらいまでのお子様を対象に、唇・頬・舌などお口周りの筋肉を鍛えて、舌の位置や口腔全体の機能を改善するトレーニング療法です。

多くのお子様には、無意識のうちに前歯の隙間から舌を押し出したり、お口がポカンと開いて口呼吸が癖になっていたり、指しゃぶりの癖が直らないといったケースがみられます。

そういった子供の癖や習慣は一見、何の問題もないように感じますが、成長期において、歯並びが悪くなったり、咬み合わせにズレが生じる原因になるので気を付ける必要があります。

また、日常の癖や習慣によって、将来顔がゆがむ原因になったり、背骨が曲がって姿勢が悪くなる、風邪や病気にかかりやすくなるなど、体への影響もあるので早めの改善が必要です。

子供のうちに「口腔筋機能療法(MFT)」を行うことで矯正の基礎作りとなり、お口元と顔の筋肉のバランスを整えられますので体の健康と小顔効果など美容効果も期待できます。

小児矯正の口腔筋機能療法(MFT)とは?

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「口腔筋機能療法(MFT)」は正式名称「Oral Myofunctional Therapy(口腔筋機能セラピー)」といい、舌・唇・頬などお口周りの筋肉を鍛えて、正しく発達させる療法です。

子供が知らず知らずのうちに行っている舌の癖や指しゃぶり、頬杖を付くといった歯並びに悪影響を及ぼす習慣を改善し、歯並びや咬み合わせを自然と正しく導くことができます。

顎の成長期にあたる3〜5歳くらいのお子様は、舌の位置を正しい位置に改善したり、咀嚼・嚥下・発音・呼吸の機能を改善しやすいメリットがあります。

歯科医院ではお子様の不正咬合の原因を見極めて、その原因にアプローチしたトレーニングを行うことで、歯並びや咬み合わせの改善、将来的な虫歯・歯周病リスクの低減に繋げます。

口腔筋機能療法(MFT)を行う目的

小児矯正において「口腔筋機能療法(MFT)」が欠かせない理由は、舌や唇などの悪習癖を改善しておくことで、本格的な矯正治療が必要になった時の土台作りになるからです。

子供のうちにトレーニングをして土台ができていれば、将来、大人になって矯正をする時に口腔周囲にある筋肉の機能が正常に働いていれば、歯並びの後戻りが起こりにくいのです。

MFTとは?—目的と期待できること

筋機能トレーニング(MFT)は、鼻呼吸・正しい舌の位置(スポット)・嚥下・口唇閉鎖など お口まわりの機能をトレーニングで整える取り組みです。
開咬上顎前突叢生などの治療において、 アライナーワイヤー矯正拡大床と併用することで、 治療の土台づくりや再発予防(保定)に役立つことがあります。

※効果には個人差があり、トレーニングのみで歯の移動が完了するわけではありません。必要に応じて装置治療を組み合わせます。

適応の目安/非適応になりやすいケース

適応の目安

  • 口呼吸・お口ポカン、低位舌、嚥下時の舌突出などの癖がみられる
  • 生え替わり期(目安:3〜5歳)で、習慣づけを行いたい
  • 保護者と一緒に自宅での練習(1日60〜90分程度)を継続できる

非適応になりやすい例

  • 重篤な骨格性不調和が主体で、装置治療が先行すべきと判断される場合
  • トレーニングの実施・衛生管理が著しく困難な場合
  • 医師の診察により別のアプローチが有利と判断される場合

最終的な可否は診察・資料採得(写真・模型・必要に応じてエックス線)のうえでご説明します。

小児矯正の口腔筋機能療法(MFT)で期待できる効果とは?

小児矯正の口腔筋機能療法(MFT)で期待できる効果は以下が挙げられます。

①お口周りの筋肉の機能改善

舌、唇、咀嚼筋などの筋肉の力を強めます。過度に働いている筋肉はリラックスさせて全体的にバランスのとれた状態を目指します。

②舌と唇が正しい位置になる

お口の周りの筋肉の機能改善によって、リラックスしているときに舌と唇の位置が正しい位置になるように改善します。

③咀嚼・嚥下・発音・鼻呼吸が正しくできるようになる

食べ物を噛んで正しく飲み込む、発音する、鼻呼吸を正しく動作ができるようにし、健全なお口の機能を適正化します。

こんなお子様は口腔筋機能療法(MFT)が必要

では、どういったお子様が「口腔筋機能療法(MFT)」を行う必要があるのでしょうか。

以下に当てはまるお子様は歯科医に相談されることをおすすめします。

▽こんなお子様は口腔筋機能療法(MFT)が必要

・4歳以降になっても指しゃぶりの癖が抜けない

・お口がポカンと開いている(口呼吸になっている)

・前歯の隙間から舌が出ている

・頬杖を付く癖がある

・食べ物を飲み込みにくい

・クチャクチャと音を立てて食べる

・飲み込む時に舌が前に突き出ている

・姿勢が悪い(猫背)

・爪を噛む癖

・うつぶせ寝

・サ行、タ行が発音しにくい

上記のお子様は舌・唇・頬などのお口周りの筋肉の働き「口腔筋機能」が十分に発達していない可能性があり、そのままでは歯並び悪化や咬み合わせにズレが生じることがあります。

歯はごく微量な力でも、毎日押していると徐々に動いていきますので、お子様一人ひとりの症状に合わせたトレーニングを組み合わせて、悪い癖を改善していく必要があるのです。

「口腔筋機能療法(MFT)」を行うことで、無意識の癖や習慣が取り除かれて、口腔筋機能を正しい方向へサポートすることができます。

実際の「口腔筋機能療法(MFT)」トレーニング法をご紹介

Side view of woman teacher wearing striped shirt and shorts sitting on sofa with little girl, preschooler kid practicing correct pronunciation with a female speech therapist.

「口腔筋機能療法(MFT)」の種類は何十種類もありますが、代表的なトレーニングをいくつかご紹介しましょう。

①あいうべ体操

トレーニング内容

・舌の位置を正常な位置に改善します。

・舌と口周りの筋肉を鍛えます。

⑴口を大きく開けて「あー」と声を出す(1秒キープ)

⑵口を横に思い切り広げて「いー」と声を出す(1秒キープ)

⑶口先に力を入れて「うー」と声を出す(1秒キープ)

⑷舌を出して「べー」と声を出す(1秒キープ)

10回で1セットです。

1日3セット行います。

②スポットポジション

トレーニング内容

・舌先を付ける、正しい位置を覚える

・舌の位置を正常にする

⑴舌の正しい位置は上の前歯の後ろにあるへこみ部分「スポット」です。

スポットにスティック(木の棒など)を当てて、正しいスポットの位置を確認します。

⑵舌の先をスポットの位置につけます。(舌で触り5秒キープ)

⑶舌の先をスポットにつけて、舌全体を上あごに吸い上げます。

⑷口を大きく開けて「ポン」と音を出します。

③スラープ・スワロー

トレーニング内容

・ものを飲み込むときに舌が出ないようにする

・嚥下の機能向上

⑴舌の先をスポットにつけて舌全体を上あごに吸い付けます。

⑵上の犬歯(糸切り歯)の後ろにストローを置いて、舌の裏側に当て「いー」の口にします。

⑶スプレーで口の横から奥歯に向かって水を吹き入れ、音を立てて水を吸い込みます。

⑷奥歯を噛んだままゴクンと水を飲みます。

 左右5回ずつ繰り返します。

代表的なエクササイズまとめ(例)と家庭での続け方

  • スポットポジション:舌先を上顎前歯の裏側の「スポット」に軽く当て、全体を口蓋に添わせる練習。
  • リップシール:口唇を閉じて鼻呼吸を意識。タイマーで1〜3分を複数回。
  • 嚥下練習:舌を上に置いたまま唇を閉じ、奥で飲み込む動作をゆっくり反復。
  • チューイング練習:左右交互に噛む意識づけ(食品・ガムは指示に従ってください)。

家庭での続け方:1日5〜15分を目安に、食後などの決まった時間に実施。記録シートで可視化し、次回の来院時に一緒に振り返ります。

1週間の記録シート(コピーしてお使いください)

日付スポットリップ嚥下メモ

費用・期間の目安

費用は症状・メニュー構成で異なります。標準的な目安は費用ページをご覧ください(分割・カード対応、医療費控除の考え方も掲載)。

期間は1年〜2年程度が目安ですが、使用時間や成長や症状・実施状況により個人差があります。

起こり得るリスク/限界

  • 初期の筋肉疲労・軽度の痛み、誤ったやり方による顎・口唇の不快感
  • トレーニングの実施状況により効果が十分得られない可能性

詳細は 小児矯正のリスク・副作用と注意点 をご覧ください。

開咬過蓋咬合叢生上顎前突すきっ歯反対咬合
拡大床インビザラインワイヤー矯正保定装置
3〜6歳6〜12歳症例一覧

よくある質問(FAQ)

Q. 毎日どれくらい行えば良いですか?

A. 1日60〜90分を目安に、決まった時間に習慣化するのがおすすめです。慣れてきたら起きているときの使用時間を増やしたり、寝ているときにもチャレンジします。また記録シートで可視化もサポートします。

Q. トレーニングだけで歯並びは治りますか?

A. MFTは土台づくりと再発予防に役立つ取り組みで、歯の移動には装置治療が必要な場合があります。早期介入の場合はトレーニングだけで改善する症例もありますが、多くの場合歯の移動のために装置矯正もセットで行うことが多いです。

Q. 日常生活に支障はありますか?

A. 基本的に大きな制限はありません。すべて自宅で行うトレーニングとなります。


子供の歯並び相談はお気軽にどうぞ

当院では、お子様一人ひとりの歯並びの症状とお口の状態に合わせて、不正咬合の原因となっている癖や悪習慣を改善するため、トレーニングの種類を選択して組み合わせていきます

毎日コツコツとご自宅でも行っていただく必要がありますので、モチベーションを維持するためにもご本人だけでなく、親御様のご協力も求められます。

成長期のお子様の適応力は素晴らしいものがありますので、矯正治療を効率よく進めることが可能です。

お子様の歯並びが気になる方は、ぜひお子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」のカウンセリングをご利用ください。

当院での進め方(相談→検査→計画→装置併用)

  1. 初診相談:まずは電話カウンセリングで気になる点やご希望を伺います。 来院時に考えられる選択肢と概算をご案内します。ご予約はこちら
  2. 資料採得・診断:写真・模型などを記録し、咬合と成長段階、習癖を評価。
  3. 計画説明:トレーニング項目・頻度、通院間隔、リスク費用を個別にご説明。
  4. 初回指導:正しい舌位・唇の閉じ方・鼻呼吸の練習を行い、家庭練習の方法を確認。
  5. 装置の併用:必要に応じて拡大床アライナーワイヤー矯正を併用します。
  6. 定期通院:およそ4〜8週ごと(個人差あり)。経過に合わせてメニューを調整。

まとめ

口腔筋機能療法(MFT)」は自宅でも継続して行う必要がありますので、当院ではお子様に楽しく続けていただけるように工夫をしております。

毎日続けることで徐々に効果が表れて、お子様の自信にも繋がっていきますので、スタッフ一同、素敵な笑顔で過ごせるようにお手伝いさせていただきます。

東雪谷、南雪谷、雪谷大塚町、上池台、久が原、南馬込、北馬込、西馬込、東馬込、仲池上、北嶺町、東嶺町、西嶺町、池上、下丸子などのエリアからも通いやすい小児歯科医院です。

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