子どもの歯を動かすのに必要な力ってどのくらい?

「子供の無意識に行っている日常の癖は歯並びに悪影響を及ぼすため、矯正治療とお口のトレーニングを並行して、日常の口周りの癖を改善する必要があります。歯を動かす力と日常の癖を早めに治す大切さについて解説していきます。」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「abc dental」の院長です。

いつもブログ・Instagram(@abcdental11)・Twitter(@abc_111_)を見ていただいてありがとうございます。

子供の歯列矯正をお考えの方は、「歯が動くにはどれくらいの力がかかるの?」、「歯はどうやって動くの?」と疑問に思ったことはありませんか?

子供の矯正治療で歯を動かす力は100g程度と意外と小さく、実は、子供が日常的に舌や唇を動かす力の方が3倍くらい強いです。

子供が無意識に行っている日常の癖は歯並びに悪影響を及ぼすため、矯正治療とお口のトレーニングを並行して、日常の口周りの癖を改善する必要があります。

そこで今回は、子供の歯列矯正をご検討の方に向けて、歯を動かす力と日常の癖を早めに治す大切さについて解説していきます。

▽先読み!この記事で分かること

・歯列矯正で歯を動かす力は約100gと少ない

・子供の日常の舌、唇の癖による力のほうが強い

・日常の癖を早期改善することが大切

・小児矯正は根本的な原因を改善する

ご質問:小児用マウスピース矯正で歯を動かすのに必要な力は?

ご質問をいただきました。

ご質問者様:9歳の息子さんのお母様

歯科医院で息子の歯並びと咬み合わせに問題があると診断されました。歯列矯正は子供のうちに始めた方が骨格から改善できるメリットがあると説明を受けてなるほど!と思いました。

小児用のマウスピース治療があると知り、実物の装置を見せてもらいましたが、本当にコレで動くのかな?不思議です。どれくらいの力で歯が動きますか?仕組みを知りたいです。

よろしくお願いします。

回答:歯列矯正で歯を動かす力は約100gです

質問に回答します。

小児用マウスピース治療で歯を動かすのに必要な力は症例によって個人差がありますが、数十g〜300gが一般的です。

強い力を加えた方が早く歯を動かせるというわけではなく、なるべく痛みが出ないように100gくらいの適度な力で少しずつ動かしていきます

歯列矯正の歯を動かす力は約100g程度ですが、子供が日常的に舌で歯を押し出したり、唇を動かす力は約500gもの強い力がかかっており、歯の動きに影響を与えています。

そもそも歯並びが悪くなってしまう原因は、骨格や歯の生え方といった遺伝的な要因の他に、日常的な癖や習慣が大きな影響を与えているのです。

そのため、子供の歯列矯正では、マウスピース治療と合わせてお口のトレーニングを行い、舌の癖や口呼吸といった悪習慣を改善する必要があります。

歯列矯正は大人になってからでも治療を受けることは可能ですが、永久歯が生え揃った頃(12歳〜15歳)には歯並びが完成するので、さらに大きな力が必要となり、痛みは出やすいです。

子供の歯列矯正は体の成長を利用して、上下の顎骨のバランスを整えながら、口周りの筋肉を適切な方向へ調整するため、治療中の痛みは少なく、根本的な歯並びの改善に繋がるメリットがあります。

子供の歯列矯正で歯を移動させるのに必要な力は?

Adorable little girl puts myofunctional trainer in the mouth. dental tariner is made to help equalize the growing teeth and correct bite and Correct the position of the tongue

子供の口腔内の状態は一人ひとり異なりますので、同じ不正咬合の症状が見られる場合でも、矯正治療における適切な力は個人差があります。

歯科医が患者様のお口の中をチェックして、矯正装置の材料の特性と個人差を考慮しながら、実際に歯を移動させるために必要な力を判断します。

子供の歯列矯正で歯を移動させるのに必要な力は数十g〜300gの範囲となり、一般的には約100g程度です。これはトマト半分、玉ねぎ半玉分と同じくらいの重さです。

子供の歯を動かす力は意外と小さい力でも動かすことができるため、大きな力を加える必要はなく、むしろ痛み対策も考えて、100gくらいの力で動かしていきます。

小児用マウスピース矯正で歯を動かすメカニズム

小児用マウスピース治療では、マウスピース装置を付けることで、舌と口周りの筋肉の誤った動きを正しい動きに改善することができ、同時に歯並びと咬み合わせを同時に治療できるのがメリットです。

さらに、低年齢からのインビザライン矯正では、現在の歯並びから理想の歯並びに近づけるため、事前に形が異なるマウスピースを数十個制作し、定期的に交換しながら、歯に少しずつ力を加えて歯並びを改善していく仕組みです。

歯の周りには歯を支えている「歯槽骨」があり、「歯槽骨」は「歯根膜」と呼ばれるたった0.3mmの薄い膜で覆われており、歯の根っこと顎の骨を繋げています。

「歯根膜」はものを噛むときなどに、歯にかかる力を和らげるクッション的な役割を果たしており、マウスピースを付けている間は「歯根膜」に矯正する力が伝わります。

歯が動く方向へ力が加えられると、歯の根っこの周りにある「歯根膜」が縮んで、炎症物質により骨が溶けて、ゆっくりと歯が移動していき、歯が動いた分だけスペースができます。

歯根膜が引っ張られる方には、歯根膜は元の厚さに戻る力が働いて、骨を作る細胞(骨芽細胞)ができ、新しい骨が作られます。

歯を動かせる移動量は1ヶ月に0.5〜1mmくらい、マウスピース1枚あたりの歯の移動量は最大0.25mm程度ですから、歯の動きによる痛みはほとんどありません。

こうしてマウスピースを定期的に交換しながら、歯を少しずつ移動させていき、最終的に理想の歯並びに改善していきます。

マウスピース装着時間は1日約20時間以上と決められていますので、基本的に食事中と歯磨きをする時以外は付けている状態が望ましいです。

子供の歯列矯正は日常の癖を早期改善することが大切

矯正治療中に気をつけたいのが子供が無意識に行っている日常の癖と悪習慣です。

例えば、舌で歯を押し出す癖は約500g、唇の力は約300gもかかっており、矯正で歯を動かす力の3倍〜5倍近くの強い力が加わっています。

子供が無意識のうちに成長期の顎骨や歯に過度に負担をかけてしまい、正常な方向へ成長するのを妨げてしまうので、歯列に悪影響を与えます。

そのため、舌や唇の使い方に癖があるお子様、口呼吸になっているお子様は矯正治療と合わせてお口のトレーニングを行い、日常の癖・悪習慣を改善することが大切です。

歯並びが悪くなる日常の癖・悪習慣

舌で歯を押し出す癖

唇を噛む癖

指しゃぶりの習慣(吸指癖)

爪を噛む癖

頬杖をつく

口呼吸

お口がポカンと開いている

うつ伏せ、横向き寝、うたた寝

小学校低学年のお子様は頬杖をつく癖や机でうたた寝してしまうことがあると思いますが、子供の頭は約3kgあり、その重さによって歯が簡単に誤った方向へ動いてしまうので要注意です。

寝るときの姿勢がうつ伏せ、横向きで寝る習慣があるお子様も歯に過度な力がかかって、歯並びに影響しますので、早めの改善が大切です。

▽以下の記事では、子供の歯並びが悪くなる癖7つと改善方法を解説しています。後天的な原因は早期に改善することができますのでぜひ、チェックしてみてください。

歯並びが悪くなる子供のクセ7選!歯科医が改善方法と予防策を解説 – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

小児矯正は歯列の根本原因から改善します

歯並びが悪くなる原因は顎骨や歯の生え方といった遺伝的な要因の他にも、今までご説明してきた通り、子供が日常的に無意識に行っている舌や口周りの使い方が大きく影響しています。

例えば、舌の位置が正常な位置よりも下がっているお子様の場合は、上顎の発達が弱まるため、歯並びが悪くなる可能性が高くなるのです。

上顎の成長は個人差がありますが、だいたい12歳で終了しますので、上顎の成長が止まると大人の矯正と同じ治療になります。

小児矯正は上顎が成長段階の時に行うため、上下の顎骨の発育バランスを整えながら、正しい方向へ誘導することが可能です。

乳歯と永久歯が混在している「混合歯列期(8〜12歳くらいまで)」に行うことで、歯並びがきれいに揃う土台づくりができますので、永久歯が正しい場所に生えてくるようになるのです。

小児矯正を始めるタイミングは個人差がありますが、小学生になったら歯科医院に歯並びについて診療を受けて、6歳〜7歳くらいまでには治療を開始されることが推奨されます。

小児用マウスピース矯正のメリット

小児用マウスピース矯正は取り外し可能なマウスピースを寝る前と日中の1日20時間以上装着し、歯並びが悪くなる根本的な原因を改善することを目的としています。

小児用マウスピース矯正のメリット

痛みや違和感が少ない

歯並びを悪くする癖や悪習慣を改善できる

顎の健全な成長を促す

取り外し可能な装置でお手入れが簡単

小児矯正ではマウスピース治療と並行して、毎日お口を動かす体操、姿勢や呼吸法のトレーニングを行い、正しい舌の位置を覚えて、歯並びが悪くなる癖・悪習慣を改善していきます。

毎日お口のトレーニングを3分程度、繰り返し行うことで、上下の顎骨がバランス良く成長するように促し、顎やお口周り(舌・唇・頬)の筋肉を鍛えることができます。

誤った力が加わって歯並びが悪くなっていた根本的な原因が改善されますので、歯列が自然に改善されるだけでなく、姿勢や体のゆがみなども改善されるのを実感していただけます。

まとめ

子供の歯列矯正において、歯を動かすのに必要な力は意外と小さい力であること、日常の癖は早期改善が大切な理由についてご紹介しました。

小児矯正のご相談は大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「abc dental」までどうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。LINE相談もお気軽にどうぞ。

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