6〜12歳は、乳歯から永久歯へ本格的に移行する混合歯列期です。6歳臼歯や前歯の生え替わりが進み、歯ならび・噛み合わせの課題が顕在化しやすい時期。顎の成長発育を活かしながら歯を動かすことができるため、症例によっては効率よく短期間で改善できる場合もあります。
早期の評価と適切な装置選択・習癖改善が、将来の抜歯リスクや長期治療の回避につながります。
このページで分かること
6〜12歳の特徴(歯の成長と矯正の重要性)
この年代は永久歯の萌出が進み、歯列アーチの幅・長さ、上下顎の前後・左右バランスが整っていく時期です。一方で、叢生(ガタつき)・すきっ歯・反対咬合・上顎前突・開咬・過蓋咬合などが現れやすくなります。顎の成長がまだ残っているため、顎の発育誘導+歯の配列改善を同時進行できるのがこの年代の強みです。
6〜9歳(混合歯列期前期):顎の成長と永久歯の生え始めを活かす
永久歯のサイズや生え方をチェックしながら、顎のスペースに余裕があるかの予測をすることが3〜5歳よりはある程度正確に確認できる時期です。歯が大きい場合は、顎を拡大する拡大床(床矯正)などを検討することで、後の抜歯リスクや後戻りを減らせます。
- 乳歯と永久歯が混在する時期は、顎の成長コントロールが可能な最後のチャンスとも言われます。骨格的な問題を早めにケアすれば、一期治療だけで完了するケースもあります。
- 8歳を超えると顎の成長発育を活かす矯正は効果が落ちやすいため、治療に2年ほどかかることを考慮すると、5〜6歳ごろの開始が顎の成長コントロールにおける最後のタイミングになりがちです。7〜8歳だと成長発育+歯の移動で対応する形になることが多いため、治療内容が少し複雑化する場合があります。
小学校低学年でのスタート
- 新しい習慣への抵抗が少なく、親子で取り組みやすい
- 運動系クラブ活動中でも、マウスピース(アライナー矯正)などで安全に対応可能
9〜12歳(混合歯列期後期):本格的な装置を使うタイミング
この時期は永久歯が増えてきて、ワイヤー矯正や透明なアライナー矯正などの本格的な装置を導入するケースが増えます。
8歳付近ならまだギリギリ骨が柔らかく、拡大床(床矯正)での顎の拡大も可能ですが、10歳以降になると顎の成長発育を利用しにくくなります。
それでも大人になってから矯正を始めるよりは、抜歯リスクや後戻りのリスクが低いのが利点です。
小学校高学年〜中学生でのスタート
- 周囲の目が気になり始める時期なので、負担の少ない装置や見えにくい装置を選ぶとモチベーションが維持しやすい(例:透明なアライナー矯正)
まずは初診電話カウンセリング(必須)で現在の状態を確認し、適切な開始時期と装置を一緒に検討しましょう。
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この年齢に多いお悩みと受診の目安
6〜12歳は、永久歯が増えるにつれて歯並びの悩みが現れやすくなります。たとえば、前歯がデコボコ(叢生)や八重歯の位置、かみ合わせでは受け口(反対咬合)・出っ歯(上顎前突)・開咬・過蓋咬合が代表的です。また、二重歯列(乳歯が残ったまま永久歯が生えた)やすきっ歯、呼吸・癖の面では口呼吸や舌突出癖、お口ポカン、さらには歯ぎしり・いびきなども相談が増えるサインです。
受診の目安は定期検診を半年に1回。上記のような変化や気になる点があれば、早めにご相談ください。装置の適応や開始時期はお子さまの成長段階により異なるため、まずは初診電話カウンセリング(来院不要)で現在の状態を確認し、最適な進め方をご提案します。
装置・治療法
この年齢では、成長期の顎や歯の動きを活かしながら、お子さまの状態に合わせた装置やトレーニングを選ぶことが重要です。代表的な方法を紹介します。
筋機能療法(MFT)
口呼吸・舌突出癖・嚥下や発音など、口まわりの筋肉バランスを整えるトレーニングです。装置治療の効果を高め、後戻り予防にもつながります。
取り外し式 機能的装置(トレーナー系・マイオブレース等)
夜間と日中の短時間装着で、悪習癖の改善と歯列アーチの発育を同時に促します。学校生活との両立がしやすい点も魅力です。
拡大床(床矯正)
歯列が狭い、スペースが足りない場合に、顎の横幅を拡げて永久歯の並ぶ余地を確保します。適応は診査・診断によって判断します。
インビザライン(年齢や歯の交換状況により First/Teen/本格治療)
目立ちにくい透明アライナーで、装着や清掃がしやすいのが特徴です。スポーツや管楽器演奏との両立にも適しています。
インビザライン・ファースト(一期治療)/インビザライン(小児後期〜中高生)
固定式(ワイヤー)
永久歯が生えそろった後の仕上げ段階や、複雑な歯並びの改善に適しています。治療計画に合わせて使用を検討します。
装置別の比較早見表
| 装置・療法 | 主な目的 | 装着/実施の目安 | 向いている例 |
|---|---|---|---|
| MFT(筋機能療法) | 口呼吸・舌癖の是正、嚥下・発音の改善、後戻り予防 | 毎日自宅トレ(数分〜10分程度を複数回) | 開咬/上顎前突/叢生に伴う習癖、口唇閉鎖不全 |
| 機能的装置(トレーナー系) | 習癖の是正+歯列アーチの育成 | 就寝時+日中短時間 | 開咬、軽〜中等度の叢生、受け口初期 |
| 拡大床(床矯正) | 歯列の横幅拡大、スペース確保 | 就寝時中心(症例により日中併用) | 側方不足の叢生、交叉咬合、狭窄 |
| インビザライン(First/Teen等) | 歯列配列の改善と噛み合わせ誘導 | 1日約20時間(食事・歯磨き時は外す) | 見た目配慮、衛生重視、スポーツ・吹奏楽 |
| 固定式(ワイヤー) | 精密な歯の配列・仕上げ | 常時装着(取り外し不可) | 難症例や第二期治療の仕上げ |
※適応や選択は個別診断で決定します。想定されるリスク・副作用もあわせてご確認ください。
症状別ガイド(6タイプ)
- 反対咬合(受け口) 前歯が逆に噛む/下顎が前に見える。早期誘導で改善しやすい場合があります。
- 上顎前突(出っ歯) 上の前歯が突出。口呼吸・舌癖も評価し、装置+MFTで包括的に。
- 開咬(前歯が咬み合わない) 前歯が当たらず隙間が空く。指しゃぶり・舌突出癖の是正+装置併用。
- 叢生(歯がガタガタ) スペース不足。アーチ育成・拡大で永久歯の居場所を確保。
- すきっ歯(空隙) 正中離開や歯間の隙間。小帯・歯サイズ・舌癖など原因評価が重要。
- 過蓋咬合(噛み合わせが深い) 深く噛み込み、下顎前歯が上顎歯ぐきに当たることも。垂直・前後コントロールが鍵。
はじめての方へ|初診の流れ
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費用・期間の目安
期間は症状・成長度により数か月〜1〜3年程度が目安です。費用は治療内容・年齢・重症度で変動します。よくある傾向としては、比較的低年齢で40〜80万円、年齢が上がり重症度が高い場合は100〜150万円程度となることがあります(あくまで一般的な目安)。詳細は矯正治療と費用をご確認ください(分割・カード・医療費控除の考え方も掲載)。
学校生活とご家庭での工夫
- 装着時間:機能的装置は就寝時+日中短時間、インビザラインは原則20時間前後。
- 衛生管理:食事時は外してブラッシング→再装着を徹底。ケース携帯で紛失予防。
- スポーツ・吹奏楽:取り外し可能な装置は練習・試合前に外す運用も可。ワイヤーでもマウスガードの併用で対応可能。
- 型取りの不快感が不安:口腔内3Dスキャナーで負担軽減が可能です。
起こり得るリスク・副作用
装着初期の違和感・疼痛、装置の破損や紛失、歯肉炎やむし歯リスクの増加、歯根吸収や歯肉退縮、計画変更の可能性など。詳しくは「小児矯正のリスク・副作用と注意点」をご覧ください。
関連症例(例)
- 【症例】叢生|7歳9ヶ月から開始|拡大床(床矯正)とインビザライン+筋機能療法を併用し治療(例:/orthodontics/cases/crowding-01/)
- 【症例】反対咬合|3歳5ヶ月から開始|マウスピースを使用し筋機能療法も併用
よくある質問
いつ始めるのがよい?
永久歯が生え始めたタイミングでの評価が有用です。顎の成長を活かしつつ、必要に応じて装置治療を開始します。
勉強や部活・習い事に支障は?
取り外し式装置やインビザラインはスケジュール調整がしやすく、学校生活と両立しやすいのが利点です。
痛みは強い?
初期の圧痛や違和感はありますが、多くは数日で慣れる範囲です。痛みのコントロール方法もご案内します。
抜歯は必要?
可能な限り回避を検討します。アーチ育成や拡大、習癖是正でスペースを確保できる場合がありますが、最終判断は精密診断によります。
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