子供の歯が足りない?原因から解決策まで徹底解説

「歯が足りない状態をそのまま放置していると、歯並びや噛み合わせに影響が出る可能性が高くなり、身体全体の健康にも影響が及ぶことがあるので注意が必要です。先天性欠損の症状、原因と歯並び治療方法について解説!」

みなさん、こんにちは!

東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯科医院「ABC Dental」の院長です。

子供の乳歯が生え揃うと全部で20本の歯が並ぶことになり、その後、6歳ごろから顎の成長と共に永久歯に生え変わっていき、親知らずを除くと全部で28本揃うことになります。

子供のお口の健康のためには、永久歯が過不足なく生え揃い、しっかりと噛み合わせることができて、口腔内機能が十分に働いていることが大事です。

しかし近年の子供たちは、生まれつき歯の数が足りない、永久歯が一部欠損している「先天性欠損」と呼ばれる症状が見られるケースが増えていると感じています。

歯が足りない状態をそのまま放置していると、歯並びや噛み合わせに影響が出る可能性が高くなり、身体全体の健康にも影響が及ぶことがあるので注意が必要です。

今回は、先天性欠損の症状、原因と歯並び治療方法について、小児歯科医が解説していきますので、ぜひ最後までご一読いただければ幸いです。

▽先読み!この記事で分かること

  • 現代の子供に増加傾向にある
  • 歯並びや噛み合わせに影響が出る
  • 成長に影響を与える可能性
  • 矯正治療や補綴治療を検討しましょう

ご質問:先天性欠損はどんな問題が起こりますか?

ご質問をいただきました。

ご質問者様:5歳の息子さんのお母様

子供の永久歯について質問です。

この間、5歳の息子が歯医者の歯科検診を受けたところ、生まれつき永久歯が少ない「先天性欠損」と診断されて驚きました。

将来、永久歯が足りなくなるということは、どんな問題が起こるのでしょうか?「先天性欠損」になった原因や治療方法についても詳しく知りたいです。よろしくお願いします。

回答:歯並びや噛み合わせに影響が出る可能性があります

質問に回答します。

歯科検診で「生まれつき歯が足りません」と言われて、きっと驚かれたでしょう。

歯科医院のレントゲン検査は目では見えない歯も撮影することができますので、通常、子供の乳歯の下には、永久歯の元となる「歯胚」を確認することができます。

通常、乳歯は全部で20本、永久歯は親知らずを除くと28本(親知らずを含めると32本)になりますが、ご質問者様のように乳歯の下に永久歯の元となる「歯胚」がないケースがあります。

乳歯はあるけれども、生まれつき永久歯の本数が少ないという症状、もしくは生まれつき乳歯から足りない症状のことを「先天性欠損」・「先天性欠如」といいます。

歯が足りないことはご本人や親御様も気付きにくく、歯科検診のレントゲン検査をした後に歯科医師から指摘されて初めて気が付くというパターンが多いです。

「先天性欠損」の症状がみられる場合、歯並びや噛み合わせに影響が出る可能性が高く、咀嚼障害や口腔内機能の低下、全身の健康への影響も考えられますので早めの改善が必要です。

まずは、担当の歯科医師に相談し、マウスピース矯正などの矯正治療、もしくは歯が足りない部分を人工歯で補う治療法をご検討されるとよいでしょう

子供の「先天性欠損」・「先天性欠如」とはどんな症状?

「先天性欠損」・「先天性欠如」とは、生まれつき歯の本数が足りない症状のことをいい、乳歯から足りないこともありますが、多くの場合は永久歯に発生します。

通常、胎児の時期に永久歯の元となる「歯胚」が形成されますが、形成異常により「歯胚」がないため、本来生えるべき歯の本数が生まれつき少ない状態です。

「先天性欠損」となる部位や本数は患者様によって異なりますが、一般的に上顎より下顎の方に起こりやすく、側切歯(前から2番目の歯)と第二小臼歯(5番目の歯)に多く見られます。

現代の子供に増えている?

日本小児歯科学会の調査(2007年~2008年調べ)によれば、歯科受診した7歳以上の子供1万5544人中、乳歯の欠如が75人、永久歯が1568人というデータがありました。

「先天性欠損」の症状がある子供の割合は10.1%、つまり10人に1人の子供は生まれつき歯の本数が少ないということが分かり、近年、増加傾向にあるといわれています。

参照:日本人小児の永久歯先天性欠如に関する疫学調査

「先天性欠損」・「先天性欠如」はどんな問題が起こる?

乳歯は顎の中で育ち、乳歯の下では永久歯が生える準備をしていますので、永久歯に押される形で歯の根が吸収されて、乳歯は自然と抜け落ちます。

しかし、「先天性欠損」の症状があると、生まれつき永久歯の芽がないため乳歯が抜けず、大人になってもずっと乳歯が残ったままとなり、乳歯をそのまま使うことになります。

乳歯は永久歯に生え変わることを前提に生えてくる歯ですから、歯の摩耗が早く、一生使い続けられるほど丈夫ではなく、多くの場合、20代から30代前後で歯根が吸収して脱落してしまいます。

生まれつき歯の数が少ないと、歯が傾いて生えてくるため歯並びが悪くなったり、噛み合わせの問題が起こる可能性が高く顔が左右非対称になることがあります。

歯が足りないためにものをしっかり噛むことができず、咀嚼機能や口腔内機能が低下し、頭痛や肩こりなども引き起こす可能性もありますので、早期発見と治療が推奨されます。

▽子供の歯並びと費用についてはコチラ!

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「先天性欠損」・「先天性欠如」になる原因は?

子供が「先天性欠損」・「先天性欠如」の原因ははっきり分かっていませんが、遺伝的な傾向があることは間違いありません。

ご両親やご兄弟に先天性欠損の症状ある場合には、お子様にも遺伝によって、生まれつき歯の本数が足りない可能性が高いです。

「先天性欠損」・「先天性欠如」は以下が原因ではないかと考えられています。

▽「先天性欠損」・「先天性欠如」の原因

  • 遺伝的な要因
  • 妊娠中の栄養不足
  • 妊娠中に飲んだ薬の影響
  • 全身疾患
  • 感染症
  • 現代の食生活の変化

注意点としては、永久歯に生え変わる時期は個人差があるため、生え変わりが遅いからといって「先天性欠損」とは限りません

歯科医院でお口の中のレントゲン撮影をすると、永久歯に欠如があるかないか分かりますので気になる方は一度、歯の状態をチェックされることをおすすめします。

▽子供の歯の生え変わりが遅いメリットとは?

子供の歯の生え変わりが遅いのは問題?意外なメリットと注意点を解説します! – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

「先天性欠損」・「先天性欠如」を放置するリスク

「先天性欠損」・「先天性欠如」の症状をそのまま放っておくと、どんなリスクがあるのか解説していきます。

生まれつき永久歯の数が少ないと、乳歯が残ったままになりますが、先ほども述べたように、大人になってもずっと乳歯を使い続けて長持ちさせることは難しいです。

多くの場合、20代から30代前後で乳歯が抜けてしまい、その抜けた部分の両隣にある歯が傾いてくるので歯列が悪くなったり、抜けた歯の反対側の歯と噛み合わせる歯がなくなります。

歯並びの悪化や噛み合わせに影響が出る可能性が高く、乳歯が抜けた部分に汚れや細菌が付きやすいので虫歯や歯周病のリスクが上がるほか、発音にも影響を及ぼす可能性もあります。

子供が「先天性欠損」・「先天性欠如」にならないための対策法

「先天性欠損」は原因が明確に分かっておらず、先天的な疾患のため、予防することは難しいですが、歯科検診を受けて早い段階で症状を発見し、適切なタイミングで治療を検討することが大切です。

「先天性欠損」・「先天性欠如」の治療法

ここからは、歯科検診で「先天性欠損」・「先天性欠如」と診断を受けた場合、どんな治療方法があるかみていきましょう。

一般的には歯列矯正(マウスピース矯正・ワイヤー矯正)、もしくは歯が足りない箇所を補う補綴治療が選択肢となります。

歯列矯正

歯列矯正は欠損している部分の隙間を閉じて歯列を整えたり、生えている歯の本数で正常な咬み合わせをつくる治療法です。

「マウスピース矯正」は薄いプラスチック製のマウスピース装置をお口に装着し、歯並びを整える矯正治療のことです。

透明で目立ちにくいのでストレスが少なく、自分で取り外しができるため、食事や運動の制限がなく、歯を清潔に保つことができます。

ただし、マウスピース矯正では歯を大きく動かすことが難しく、歯の状態によっては適応が難しいこともあり、その場合はワイヤー矯正を併用することがあります。

「ワイヤー矯正」はブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に取り付けて、ワイヤーを通して歯に力をかけて歯を動かしていき、欠如した部分の隙間を閉じていく治療方法です。

一般的に矯正治療は自費治療ですが、先天性欠如歯の矯正治療は、欠如の歯の数が6本以上ある場合、「先天性部分無歯症」という先天疾患として健康保険が適用されます

ただし、治療方法や使用する装置の素材によっては保険が適用されないため、歯科医院で確認をしておきましょう。

▽インビザラインとワイヤー矯正の違いについてはコチラ!

【小児矯正】インビザラインとワイヤー矯正9つの違いを歯科医が解説! – 子ども 歯の矯正(院長ブログ)

補綴治療

矯正以外の治療方法としては、歯が足りない箇所をブリッジやインプラントなどの人工歯で補う「補綴治療」があります。

「ブリッジ」とは歯が欠如している部分の両隣の歯を削り、連結した被せ物を入れる治療法です。セメントで固定するため取り外しはできませんが、安定感があり違和感が少ないです。

「インプラント」は歯の欠如がある部分の顎の骨にネジを埋め込み、ネジの上に人工の歯冠を取り付けて、普通の歯と同じ機能を持たせる治療法です。

見た目は普通の歯と変わらず、人工の歯なので虫歯にならないのがメリットですが、外科手術が必要となり、治療費用が高額になります。

注意点としては、インプラントはある程度顎の骨が成長していないとできないため、一般的に顎の骨の成長が進んだ16歳以上に適用される治療法です。

早めに歯科医院に相談しましょう

「先天性欠損」は病気というよりも、生まれつき永久歯が足りない疾患ですので、過度に心配する必要はありませんが、子供の場合は成長に影響を及ぼす可能性があります。

まずは歯科医院で検診とレントゲン検査を受けて、「先天性欠損」と診断された場合は、担当の歯科医師と相談して、適切な治療法を適切なタイミングで受けることが推奨されます。

「先天性欠損」の症状は5歳~6歳になるとレントゲン検査で調べることができますので、特にご両親やご兄弟に先天欠如が見られる方は一度、歯科医院に診てもらいましょう。

▽お口の口腔育成は3歳からがポイント!はコチラ!

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子供の歯科検診は「ABC Dental」へお気軽にどうぞ

子供の「先天性欠損」は放っておくと歯並びが悪くなり、将来的に噛み合わせに問題がでる可能性が高いため、担当の歯科医師と相談の上、適切な治療を進めていきましょう。

「先天性欠損」と診断されて矯正治療を検討している方は、矯正歯科の矯正相談を活用されることをおすすめします。

当院の小児矯正の無料相談は当サイトから予約が可能です。お子様と一緒に大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門「ABC Dental」の無料カウンセリングをご利用くださいませ。

まとめ

今回は先天性欠損の症状、原因と歯並び治療方法についてご紹介しました。お子様の健康のためにも、歯科検診を受けて、適切な時期に治療を受けることが大切です。

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