「口呼吸」「舌癖」「歯ぎしり」「よだれ」などの“お口の癖(口腔習癖)”は、歯並びや顎の発育、発音、呼吸の質にまで影響します。このページでは、原因と改善法、自宅でできる舌トレ、MFT(筋機能療法)、そして当院のアプローチを体系的に解説します。
お口の癖(口腔習癖)とは?歯並びへの影響
「お口の癖(口腔習癖)」とは、無意識のうちに繰り返されるお口まわりの動きや習慣のことです。代表的なものに口呼吸(お口ポカン)、舌の位置が低い・舌で歯を押す、よだれが多い、指しゃぶり・おしゃぶり、歯ぎしり・食いしばり、飲み込み方の問題などがあります。
成長期のお子さんは顎の骨が柔らかく形が変わりやすいため、弱い力でも長時間かかり続けると歯や骨は動きます。装置で歯を動かす力が数十グラムでも効果があるのと同じで、日常のクセも長期的には歯並びや顎の成長、発音・呼吸に影響します。
なぜ“お口の使い方”が歯並びに影響するの?
歯の位置は、舌・唇・頬などの筋肉の力のバランスで保たれています。例えば、
- 口呼吸が続く → 唇の力が弱くなる/舌が下がる → 前歯が出やすい・上顎が狭くなる
- 舌の位置が低い → 上顎を内側から支えられない → 歯列弓が広がらず叢生(デコボコ)
- 歯ぎしり・食いしばり → 歯の摩耗・顎関節の負担
代表的なサイン(チェックポイント)
- いつも口が開いている、唇を閉じづらい
- よだれが多い、飲み込みがぎこちない
- 舌を前に突き出す/歯の間に挟む
- 寝ている時の歯ぎしり・食いしばり
- 発音が不明瞭、滑舌が悪い
重要なポイント
・お口の癖は「仕方ない」ではなく改善できる機能的な問題
・顎の骨は弱い力×長時間で変わる(装置と同じ原理)
・装置+MFT(筋機能療法)で後戻りしにくい安定した結果へ
まずは、お子さんに当てはまる症状をチェックしましょう。次で症状別に原因と対策を解説します。
症状から探す:うちの子はどのタイプ?
口呼吸・お口ポカン
サイン:常に口が開く/寝ている時も口が開く/いびき/集中が続かない など。
影響:舌が下がり上顎が十分に広がらない → 出っ歯・受け口・叢生・顔が縦長になりやすい/口腔乾燥でむし歯・歯肉炎リスク上昇。
詳しく: お口ポカンは自然には治らない?原因と対策 / 赤ちゃんは鼻呼吸—いつから口呼吸になる?
よだれが多い・よだれが出続ける
サイン:3歳以降もよだれが多い/よだれかけが手放せない/枕が濡れる/口が常に開く。
ポイント:よだれ自体より原因(口呼吸・低位舌・嚥下問題・口唇筋弱さ)が歯並びに影響。
舌の位置が低い・舌を出すクセ
サイン:口を開けると舌が見える/話す時に舌が見える/飲み込む時に舌が前へ。
影響:舌が上顎を内側から支えない → 上顎が狭い・叢生・口呼吸・受け口に連鎖。
詳しく: 舌の低位と歯並びの関係 / 舌トレーニング(自宅で可) / 滑舌と舌位・歯並びの関係
飲み込み方の問題
サイン:食べるのが遅い/口に食べ物を溜める/飲み込む時に舌が出る。
影響:1日約2,000回の嚥下で舌が前歯を押すと、継続力で歯は動きます(出っ歯・開咬など)。
詳しく: 正しい飲み込み(嚥下)の習得 / 風船が膨らまない=筋力発達のサイン
歯ぎしり・食いしばり
サイン:睡眠中の強い歯ぎしり/朝の顎の痛み/歯の摩耗/頭痛。
影響:歯のすり減り・顎関節の負担/口呼吸の併存で悪化することも。
詳しく: 子どもの歯ぎしりの原因と対処法 / ナイトガードの使い方と注意点
指しゃぶり・おしゃぶり
サイン:3歳以降も続く/寝る時に必ず指を吸う/ストローマグを長期使用。
影響:開咬・出っ歯・上顎狭窄/舌突出癖の助長。
詳しく: 指しゃぶり完全ガイド(原因・影響・対処) / ストローマグと歯並びの関係
滑舌が悪い・発音の問題
サイン:サ行・タ行が言いにくい/鼻声/話す時に舌が見える。
影響:舌位・舌筋・上顎の幅など、構造と機能の双方が関与。早期評価と改善が大切。
詳しく: 滑舌と舌位・歯並びの関係 / 舌の低位が与える影響
複数の症状が同時に起きる理由
お口の機能は相互に連動しています。例:口呼吸 → 低位舌 → よだれ/低位舌 → 嚥下問題 → 滑舌の低下。
一つを改善すると他も良くなることが多く、包括的なアプローチが有効です。
次は、これらの習癖が具体的にどんな結果を招くのかを整理します。「お口の癖が引き起こす3つの問題」へ
お口の癖が引き起こす3つの問題
お口の癖は、お子さんの成長に3つの大きな影響を与えます。歯並びだけでなく、顔つきや全身の健康にまで関わる重要な問題です。
① 歯並びへの影響
お口の癖が長く続くと、様々な不正咬合(歯並びの問題)を引き起こします。
| 不正咬合の種類 | 主な原因習癖 | 特徴 |
|---|---|---|
| 出っ歯(上顎前突) | 舌で前歯を押す/指しゃぶり | 上の前歯が前方へ突出 |
| 受け口(反対咬合) | 口呼吸(低位舌)/舌突出 | 下の前歯が上の前歯より前に |
| 開咬 | 指しゃぶり/舌突出嚥下 | 奥歯は当たるが前歯が噛み合わない |
| 叢生(デコボコ) | 口呼吸(上顎狭窄) | 歯列が狭く重なり合う |
| 上顎狭窄 | 口呼吸/低位舌 | V字型で狭い上顎 |
なぜ悪化する? 1日約2,000回の嚥下で舌が前歯を押す力が加わると、矯正装置と同じ原理で歯が動いてしまうのです。
② 顔の発育への影響
口呼吸や低位舌は、顔の骨格の発育にも大きく影響します。
正常な発育(鼻呼吸):舌が上顎を内側から支え、横に広く成長 → 顔のバランス良好。
口呼吸の場合:舌が下がり、上顎が狭くなり、縦に長い顔(アデノイド顔貌)になりやすくなります。
⚠ アデノイド顔貌とは
慢性的な口呼吸により、顔が縦長・狭い・口が閉じにくい特徴的な顔つきになる状態です。
幼少期に改善すれば正常発育に戻すことが可能です。
③ 健康・学習への影響
お口の癖は、歯並びや顔つきだけでなく、呼吸・睡眠・集中力・姿勢など、全身の健康や学習にも関係します。
| 領域 | 主な問題 |
|---|---|
| 呼吸器 | 風邪をひきやすい/喘息リスク増加 |
| 睡眠 | いびき/睡眠時無呼吸/睡眠の質低下 |
| 集中・学習 | 眠気・集中力低下・学習効率ダウン |
| 姿勢 | 猫背・肩こり・頭部前方位 |
鼻呼吸の改善により、風邪・いびき・集中力・運動能力・姿勢などが全て良い方向に向かいます。
関連情報: 子どもの姿勢と歯並びの関係 / 噛み合わせ改善と運動能力
次は、このような問題を防ぐための根本的な治療法、MFT(筋機能療法)について解説します。
改善方法:MFT(筋機能療法)とは
MFT(Myofunctional Therapy:筋機能療法)は、お口の周りの筋肉を正しく使うためのトレーニング法です。
口呼吸を鼻呼吸に戻し、舌を正しい位置に保ち、正しい飲み込み方(嚥下)を習得します。
なぜMFTが必要?
矯正装置だけで歯を動かしても、お口の癖が残っていれば数年後に後戻りします。
MFTを併用することで、安定した歯並びと健康な成長を目指します。
| 装置のみ | 装置+MFT | |
|---|---|---|
| 歯並び | 整う | 整う |
| 癖の改善 | 残る | 改善される |
| 後戻り | しやすい | しにくい |
| 顔の発育 | 限定的 | 促進される |
| 健康 | 変化小 | 改善 |
MFTの基本トレーニング
- あいうべ体操:「あ」「い」「う」「べ」を各1秒×10回×朝昼夜=1日30回
- 舌のスポット練習:上顎前歯裏のスポットに舌先→舌全体を上顎に吸着→口を閉じる
- ボタンプル:ボタンを唇で挟み、軽く引っ張っても外れないようキープ
使用する装置
- マウスピース(MFT用トレーナー):プレオルソ/マイオブレース/T4K(夜+日中1〜2h)
- マウスピース(アライナー矯正):インビザライン・ファースト等
- 拡大床:上顎の幅が不足している場合に併用
💪 効果実感までの目安:3〜6ヶ月で変化を感じる方が多く、毎日の継続が成功の鍵。
保護者の励ましとサポートが成果に直結します。
次は、家庭でできる具体的な工夫をご紹介します。ご家庭でできる対策へ
ご家庭でできる対策
専門的な治療と並行して、日常生活の中でできる取り組みも非常に重要です。
1. 鼻呼吸を意識させる
- 優しい声かけ「お口閉じようね」→できたら褒める
- 鼻づまり(鼻炎・アデノイド)がある場合は耳鼻科受診
- 湿度50〜60%を維持し、乾燥を防ぐ
鼻詰まりがある場合
鼻が詰まっていると鼻呼吸は難しいため、まずは耳鼻科で原因(鼻炎・アデノイド肥大)を治療しましょう。
2. 正しい姿勢
- 食事中:足を床に/背もたれに背中/テレビを見ながら食べない
- 日常:頬づえNG/頭を前に出さない
- 就寝:仰向けが理想、うつ伏せ・横向きは避ける
3. よく噛む食事
- 根菜・果物(りんご丸かじり)・するめ・玄米など噛みごたえのある食材
- 一口30回を意識/飲み物で流し込まない
4. 簡単トレーニング
- あいうべ体操(1日30セット)
- 舌スポット1分キープ(寝る前)
- 風船を膨らます練習で口周り筋を強化
5. 指しゃぶり・おしゃぶりを卒業
- 叱らず、代わりの安心感を与える(絵本・スキンシップ)
- 日中→夜の順に段階的にやめる
- 手を使う遊び(粘土・ブロック)で注意をそらす
詳しく:指しゃぶり完全ガイド
6. 睡眠環境の見直し
- 枕は低めに/気道を確保
- 湿度50〜60%・静かで暗い部屋
- 就寝前はスマホ・タブレットを避け、リラックスタイムを確保
💚 大切なこと
お口の癖改善には、お子さん本人の意識と保護者のサポートが不可欠です。
叱らず・褒めて・楽しく続けることが成功のポイントです。
次は、当院で実際に行っている治療の流れとサポート体制をご紹介します。ABC Dentalの治療アプローチへ
ABC Dentalの治療アプローチ
ABC Dentalでは、お口の機能改善を重視した小児矯正を行っています。単に歯を動かすのではなく、「お口の使い方」から整えることで、後戻りしにくく、健康的で美しい歯並びを目指します。
1. MFT(筋機能療法)を重視した治療
- 口呼吸 → 鼻呼吸への改善
- 舌の位置を正しい位置(上顎)に誘導
- 正しい飲み込み方(嚥下)を習得
- 後戻りしにくい安定した歯並びを維持
使用する主な装置:
- プレオルソ・マイオブレース・T4K(MFT用トレーナー)
- インビザライン・ファースト(マウスピース型矯正装置)
- 拡大床(必要に応じて併用)
装置の詳細は、装置・治療法を比較|小児矯正装置の選び方 をご覧ください。
2. 小児矯正専門の知識と経験
ABC Dentalは、3歳から始められる小児矯正に特化した専門院です。年齢・成長段階に合わせた治療プランを提案し、豊富な症例に基づいた最適な方法でサポートします。
詳しくは:年齢から探す|小児矯正いつから始める?
3. 丁寧なカウンセリングと説明
初診前の 無料電話相談 にて、お子さんの状態や保護者の方のご不安を丁寧にお伺いします。
検査後は結果をわかりやすくご説明し、治療方針と費用を明確にお伝えします。
📞 初診電話カウンセリングは必須です
適切な診療時間の確保と、お子さんに合った治療のご提案のため、初回は必ずお電話でご相談をお願いしています。
4. ご家庭との連携・サポート
保護者の方にも「家庭でできるサポート法」をお伝えし、お子さんが楽しく継続できるようにフォローします。
LINE公式アカウントからの質問も可能です。
5. 通いやすい立地
東急東横線・目黒線「田園調布駅」徒歩5分。
大田区田園調布・雪谷・久が原・目黒区自由が丘・川崎市武蔵小杉方面からもアクセス良好です。
治療の流れ
- 電話相談(無料) … お子さんの年齢・症状を確認し、最適な治療開始時期をご案内。
- 初診・検査 … 口腔機能・歯並び・呼吸・舌の動きなどを詳しくチェック。
- 診断・治療計画 … 検査結果と治療内容・期間・費用を丁寧に説明。
- 治療開始 … 装置装着・MFTトレーニング指導・家庭ケア方法を伝授。
- 定期チェック(月1回) … 装置調整・MFT確認・習慣の改善度を評価。
- 保定・経過観察 … 改善した機能を維持し、永久歯の生え揃いを見守ります。
詳しい流れは:はじめての方へ|初診の流れ
料金と医療費控除
- 初回検査・診断料:33,000円(税込)
- 治療費:装置・期間により異なります(総額制・明朗会計)
- 分割払い・クレジット決済対応
- 医療費控除の対象
料金一覧はこちら:料金プラン|ABC Dental
まずは、お気軽にお電話でご相談ください。
よくある質問
お口の癖や機能改善について、保護者の方からよくいただく質問をまとめました。
口呼吸は自然に治りますか?
いいえ、自然には治りません。
鼻呼吸に必要な筋力が発達しないため、トレーニングと治療が必要です。
3歳でよだれが多いのは問題?
3歳を過ぎても多い場合は、口腔機能の発達遅れの可能性があります。
子どもの歯ぎしりは治療が必要?
一時的な場合も多いですが、強い歯ぎしりが続く場合は要注意。歯ぎしり原因と対策を参照。
指しゃぶりはいつまでにやめるべき?
3歳までに卒業を目標に。叱らず、代替行動を与えることがポイント。指しゃぶり完全ガイド
舌の正しい位置は?
舌先を上の前歯の裏側の膨らみに当て、舌全体を上顎に吸い付ける状態が正しいです。
詳しくは:舌の位置と歯並びの関係
MFTとは?
MFT(筋機能療法)は、お口の筋肉を正しく使えるようにするトレーニング。後戻り防止にも重要です。
家庭でできるトレーニングは?
あいうべ体操・舌ポジション練習など、1日5分から始められます。
治療は何歳から可能?
早ければ3歳から始められます。低年齢ほど効果的。年齢別ガイド参照。
治療期間はどのくらい?
平均1〜3年。MFTの効果は3〜6ヶ月で実感しやすいです。
治療費はいくら?
装置・内容により異なりますが、料金プランページをご覧ください。医療費控除も利用可。
関連ページ:
まずはお気軽にご相談ください
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💻 WEB予約:初診予約フォーム
📍 アクセス:田園調布駅 徒歩5分|アクセスを見る
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