子供の「深い噛み合わせ」は無視してはいけない理由を解説します。子供の深い噛み合わせである過蓋咬合ディープバイトの原因と治療法を説明、期間や費用目安なども合わせて徹底解説!
みなさん、こんにちは!
東京都大田区田園調布にある小児歯科・矯正歯科専門の歯医者「ABC Dental」の院長です。
現代の子供たちは歯並びに何かしら問題があるケースが多いですが、その一つに「噛み合わせが深い」という症状があります。
噛み合わせが深い、と聞いても何が問題なの?と不思議に思うかもしれません。噛み合わせの深い状態を放置すると、歯や歯茎へのダメージ、顎関節症リスクがあるので注意が必要です。
そこで今回は、子供の「深い噛み合わせ」は無視してはいけない3つの理由を解説します。発症する原因と治療法、期間や費用目安なども合わせてみていきましょう。
▽先読み!この記事で分かること
・子供の「深い噛み合わせ」は要注意なワケ
・「深い噛み合わせ」になるのはなぜ?
・子供の「深い噛み合わせ」治療法は?
・治療期間と費用相場について
目次
質問:子供の噛み合わせが深いとは?
ご質問がありました。
「子供が小学校の歯科検診で、噛み合わせが深い症状があるので歯科医院の診断が必要だと言われました。
実際に近所の歯科医院で見てもらいましたが、専門用語が理解できず、「噛み合わせが深い」という意味も分からず…。
噛み合わせが深いのはどういった理由で問題なのでしょうか?分かりやすく解説をお願いします」
回答:顎関節症のリスクがある不正咬合です
ご質問ありがとうございます。
まずは、簡潔に回答します。
「噛み合わせが深い」というのは、歯並びに何かしらの問題がある不正咬合の一つです。
奥歯を「イー」と噛みしめると、上の前歯が下の前歯を完全に覆いかぶさっていて、下の前歯が全く見えない状態、あるいは下の前歯で上の歯の裏側の歯茎を噛んでいる状態になります。
噛み合わせが深い症状を正式に「過蓋咬合(ディープバイト)」と呼びます。
「過蓋咬合(ディープバイト)」は歯並びが悪い、という見た目だけの問題だけではなく、歯ぎしりによって歯が削れるリスクや顎関節症を引き起こす可能性があるので、注意が必要です。
上の前歯の裏側の根元に当たっている状態にあるため、歯や歯茎を刺激したり、顎の関節が痛くなり異常をきたすリスクもあります。
「噛み合わせが深い」と診断された場合、早めに矯正治療を開始すると理想的です。
【セルフチェック】子供の不正咬合「噛み合わせが深い」とは?
ここからは、子供の「噛み合わせが深い」症状ついて、詳しくみていきます。
「噛み合わせが深い」とは、通常よりも過剰に深く噛み合わさった状態の歯並び、という意味です。
では、鏡を見て歯をチェックしてみましょう。
上下の奥歯を「イー」と噛みしめた時に上下の前歯をみてください。
その時に、下の前歯はどれくらい隠れているでしょうか?
下の前歯が半分以上見えていたら、「過蓋咬合」ではありません。
下の歯が全く見えていない場合は「過蓋咬合」の可能性があります。
以下の条件に当てはまるお子様は「過蓋咬合」の症状が見られますので、歯医者さんに相談しましょう。
・下の前歯が上の前歯に覆われてまったく見えない
・下の前歯の先が上の前歯の根元に当たっている
※逆に噛み合わせが浅すぎる場合は「開咬(かいこう)」という別の症状です。
当院「ABC Dental」では、歯列の3Dスキャンを行い、「過蓋咬合」かどうか判定します。
子供の「深い噛み合わせ」で起こり得る3つの症状・リスク
では、子供の噛み合わせが深いと何が問題なのでしょうか。
「噛み合わせが深い」ことで3つのリスクがあります。
リスク1)歯ぎしりによって、歯が削れる
人間の歯は非常に頑丈に出来ていますが、歯に過剰な負担をかけると、当然ながら歯が削れてしまい、寿命まで歯が持たないことがあります。
特に子供の頃に「噛み合わせが深い」症状があると、歯ぎしりや食いしばりのクセによって、歯が半分以上削れてなくなるケースもありますので注意が必要です。
リスク2)顎関節症、顎の関節に異常
そして、最も注意しなければならないのは顎関節症のリスクです。
「過蓋咬合」は下の前歯が常に上の前歯に圧迫されているため、下顎の動きが制限されて顎関節症になりやすい傾向にあります。
人間の顎はこめかみ辺りにある2つの関節がくっついている浮いている状態にあり、噛み合わせが深い場合、「歯」と「顎」の両方に大きな負担がかかるのです。
顎は柔らかい軟骨が緩衝材にはなっていますが、噛み合わせが深く、顎に負担がかかると、顎関節症になるリスクがありますので、注意が必要です。
奥歯でものが噛みにくい、また口を開け締めした時に顎がカクカクと音がするようであれば、すでに症状が出ていると考えてください。
顎が壊れてしまうと、食事にも悪影響があり、生活に支障をきたします。顎関節症は治療期間が長くなり、現状元に戻すのが非常に困難となりますので、早期の治療開始が大切です。
稀なケースですが、10代20代で顎が開かなくなることもありますので、手遅れにならないように早めに歯科医院でのチェックをおすすめします。
リスク3)歯茎の炎症・前歯の虫歯になりやすい
「噛み合わせが深い」症状は、下の前歯が上の前歯の根元の歯茎を圧迫している状態にあるため、歯茎が傷ついて炎症を起こしやすく、口内炎にもなりやすいです。
上の前歯だけが外気に触れて、乾燥した状態になるため唾液の量が減り、唾液による虫歯予防がうまく働かず、前歯が虫歯や歯周病になりやすくなる点にも注意しましょう。
子供の「噛み合わせが深い」症状は時間の経過とともに進行して、さらに深くなる傾向にありますので、早めに診療を受けて、治療することが大切です。
子供の噛み合わせが深くなる原因は?
ここからは、なぜ子供の「噛み合わせが深い」のか原因をみていきます。大きく分けて、先天的と後天的な要因があります。
▽先天的な要因
・下顎に対して上顎が大きい
・遺伝的に顎の骨、位置に問題がある
・歯の位置・傾きが目立つ
・上下の顎の骨の大きさがアンバランス
・上顎と下顎の成長に差がある
・前歯が過剰に伸びて、奥歯が成長せずに伸びていない
▽後天的な要因
・歯を噛みしめるクセ(歯ぎしりや食いしばり)
・下唇を噛む、吸うクセ
・口呼吸
・虫歯治療で奥歯を抜いた
・奥歯の欠損
お子様が過蓋咬合になる原因は1つだけではなく、様々な要因が絡み合って起こります。
一般的に、骨格の位置関係の異常が多く見られますが、日常的な歯ぎしりや食いしばりといったクセによって噛み合わせが深くなることも多いです。
子供の「深い噛み合わせ」治療法は?
子供が「深い噛み合わせ」と診断されたら、どんな治療法があるでしょうか。
「過蓋咬合(ディープバイト)」は小児矯正によって症状を改善することができます。
一般的な矯正治療を見ていきましょう。
①ワイヤー・ブラケット矯正治療
歯の表面に「ブラケット」と呼ばれる器具を取り付けてからワイヤーを通すことで、奥歯の高さを調整しながら、前歯を歯茎側に動かしていく方法です。
目立たないように裏側にブラケットを装着する方法もあります。
②マウスピース型の矯正装置
マウスピース型の矯正装置を使用し、下顎の成長をサポートしながら骨格のバランスを整えて歯並びを矯正していきます。噛み合わせが安定します。
③外科手術
顎の骨に問題がある場合や、噛み合わせが大きくズレている場合、顎関節症の症状が見られる場合には、外科手術で骨のバランスを整えて、噛み合わせを調整します。
子供の「深い噛み合わせ」治療は痛くない?
子供は適応能力が高く、矯正装置に慣れやすいメリットがあります。はじめの2〜3日は違和感があり、多少痛みを感じますが、時間の経過とともに慣れるケースがほどんどです。
特にマウスピース型の矯正装置は、一定の時間以上つけていないと治療効果がしっかりと現れませんので、保護者の方がチェックしながら、長く装着するようにしましょう。
子供の「深い噛み合わせ」治療は何歳から?
「過蓋咬合(ディープバイト)」の治療は3歳から5歳前後から始められると理想的です。
噛み合わせが深くて良いことは何一つなく、早期の矯正治療によって改善することで将来起こるトラブルの多くを回避することができます。
大人になると顎の成長が止まって、症状が進行する傾向にあり、そうなると治療が難しくなりますので、なるべく小児矯正で治しておいた方がメリットは多いです。
子供の「深い噛み合わせ」治療にかかる期間は?
過蓋咬合の治療にかかる期間は個人差がありますが、小児矯正の場合は1年〜1年半が目安となり、大人より短い期間になることが多いです。
下顎の成長が不十分といった上下の顎のアンバランスがある場合、骨格的な原因から改善できるメリットもあります。
子供の「深い噛み合わせ」治療にかかる費用は?
過蓋咬合の治療にかかる費用相場は症状によって個人差がありますが、小児矯正の場合、50〜100万円程度です。
保険適用になる?
過蓋咬合の矯正治療は自由診療となり、健康保険が適用されないケースがほとんどです。
ただし、厚生労働省に認めている原因による過蓋咬合と先天性の特定疾患の場合は、健康保険の適用が受けられるケースがあり、20万円〜25万円程度になります。
よくある質問(ディープバイト/過蓋咬合)
Q. 家庭でできるディープバイトの簡単チェックはありますか?
鏡の前で軽く噛み合わせて、上の前歯が下の前歯を大きく覆って見えにくい/見えない、または下の前歯が上の歯ぐきに当たる感覚があれば、ディープバイトのサインかもしれません。基礎知識は「ディープバイト(過蓋咬合)とは?」をご覧ください。
あくまで目安です。正式な診断は当院の検査(写真・3Dスキャン等)で行います。
Q. 何歳から相談すべきですか?最適な時期は?
目安は3〜6歳からのご相談です。成長を味方につけやすい時期で、選べる治療法も広がります。学齢期のポイントは以下をご参考に。
3〜6歳の矯正情報(幼稚園児)
6〜12歳の矯正情報(小学生)
当院は初診電話カウンセリング(必須・来院不要)からご案内します。全体の流れは「はじめての方へ|初診の流れ」をご確認ください。
Q. 放置するとどんなリスクがありますか?
前歯のすり減り・歯ぐきの傷(下の前歯が上顎の歯ぐきに当たる)
顎関節への負担や歯ぎしりの助長(関連:子どもの歯ぎしりの原因と対処)
発音・舌の動きへの影響(関連:滑舌と歯並びの関係)
リスクや進行度は個別に異なるため、早めの診査をおすすめします。
Q. ディープバイトの治療法には何がありますか?
年齢や症状に合わせて、顎の成長誘導+噛み合わせの改善を目指します。
代表例:
拡大床(床矯正):歯列弓の幅やスペース不足を整える目的で使用
筋機能トレーニング(MFT):舌・口唇・頬の機能を整え、再発予防にも
インビザライン・ファーストやワイヤー矯正:歯の位置・噛み合わせの調整
最適な組み合わせは検査・診断後に個別にご提案します。
Q. マウスピース矯正はディープバイトにも使えますか?
適応の可否は年齢・骨格の成長段階・症状の強さで変わります。インビザライン・ファーストで対応できるケースもありますが、症例によってはワイヤー矯正や補助装置を併用します。
装着ルールも重要です。(関連:就寝時だけで効果は?装着時間の注意点)
Q. 痛みや学校生活(運動・吹奏楽)への影響が心配です
痛みは数日で落ち着く軽度の圧痛が多いです(個人差)。対策は小児矯正の痛みと対処法をご参照ください。
スポーツ中の装着目安は競技によって変わります。参考:装着したままスポーツしてもOK?
息や音への影響は、装置・噛み合わせにより異なります。参考:歯並びと吹奏楽の関係
装置の清掃・管理は「矯正装置の洗浄方法」をどうぞ。
Q. 治療期間・通院頻度の目安は?
症状と年齢で変わりますが、通院は4〜8週ごとが目安です(個人差あり)。当院の進め方は「初診の流れ」に沿って、相談→検査→計画→開始と段階的にご説明します。
Q. 費用はどれくらい?医療費控除は使えますか?
費用は装置の種類・期間で異なります。最新の料金は料金プランをご確認ください。小児矯正は医療費控除の対象?の記事では戻る金額の目安や申請のポイントも解説しています。
Q. 「後戻り」を防ぐには?リテーナーは必要ですか?
治療後は保定装置(リテーナー)で整えた位置を安定させます。概要は保定装置(リテーナー)、注意点は後戻りの原因と防ぎ方をご覧ください。期間の考え方は「リテーナーはいつまで?」で解説しています。
Q. 指しゃぶり・口呼吸・舌の位置は関係しますか?
はい。指しゃぶり・口呼吸・舌低位などの癖は、噛み合わせの乱れや再発につながります。ご家庭での対策と院内トレーニングを併用します。
院内の筋機能トレーニング(MFT)で正しい機能獲得をサポート
Q. 他の不正咬合との違いは?見分け方の参考はありますか?
Q. 受診エリアの目安は?アクセスは便利ですか?
当院は田園調布駅から徒歩圏。東急東横線・目黒線で自由が丘・雪が谷大塚・武蔵小杉方面からも通院しやすく、大田区・目黒区・世田谷区・品川区からの受診が多い医院です。詳しくはアクセスをご覧ください。
予約・お問い合わせ/初診の手順ははじめての方へをご確認ください。
関連リンク:基礎から学ぶ ディープバイト(過蓋咬合)とは?|装置別まとめ インビザライン・ファースト/拡大床/MFT|年齢別 小学生の矯正
深い噛み合わせが気になったら田園調布の小児矯正「ABC Dental」へご相談ください
深い噛み合わせ「過蓋咬合」は見た目だけの問題だけでなく、歯や歯茎のダメージ、顎の動きに大きな負担がかかるため、早期に治療を開始するのが理想的といえます。
当院「ABC Dental」ではお子様の歯並び無料相談と不正咬合のチェック、過蓋咬合の治療を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
楽しく学ぶ4コマ漫画
本ページの内容は、歯科医師が監修したイラストを用いてわかりやすく解説しています。
